豊川の正覚寺で火災

2018/02/26 00:00(公開)
頭部だけが残った桶地蔵菩薩㊧と焼失した正覚寺=豊川市正岡町で
敷地内雑木林から出火、本堂など全焼

 25日午前4時40分ごろ、豊川市正岡町の正覚寺敷地内の雑木林から出火、木造平屋建ての本堂と敷地内の隣接した木造平屋建て住宅の計約160平方㍍が全焼し、雑木林約50平方㍍が焼けた。約3時間後に鎮火し、けが人はなかった。
 豊川署によると、住宅は借家で55歳の男性と姉がいたが、火災に気づき、すぐに逃げ出して無事だった。
 近所の住民男性が就寝中に外からパチパチと音が聞こえ確認したところ、雑木林から火の手が上がっているのを発見、119番通報した。
 同署が出火原因などを調べている。

歴史ある文化財の桶地蔵菩薩も消失

 この火事で、仏具や古文書、本堂にまつられていた市指定文化財の桶地蔵菩薩も燃えてしまった。木造で胴体部分は崩れ落ちたが、奇跡的に残った頭部だけが発見された。
 鎌倉時代に作られたとされるこの地蔵は台座が桶の上に置かれ、豊川(とよがわ)の洪水で氾濫した際に川上から桶に乗ってこの地に流れ着き、ある若者が大切にしたという言い伝えがある。この若者の妻が身ごもり、なかなか出産できない中、地蔵を寺にまつろうとした際に桶の底が抜け、同時に元気な子供が生まれたという。
 この伝説から、地元の正岡町や柑子町、行明町などの女性は妊娠すると安産祈願のために参詣し、正覚寺は地元住民から親しまれていた。それだけに、男性住職(67)は「歴史のある菩薩さまだったからね。残念です」と肩を落とした。
 現場は豊川放水路のすぐ北側、建設中の商業施設「クロスモール豊川」の裏手にあたり、夜間は車や人通りは少ない。周囲には民家が立ち並び、火災の発生直後には警察が住民らに屋外に避難するように呼び掛け、一時騒然となった。近くのアパートに住む会社員の男性(28)は「風が強かったら、周りの建物に燃え移っていたかもしれない」と振り返った。
(由本裕貴)
25日未明、激しく炎を上げて燃える正覚寺(読者提供)
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