「危機対応」に警告

2019/02/24 00:00(公開)
防災セミナーで講演する河田氏=ライフポートとよはしで
防災セミナーで講演する河田氏=ライフポートとよはしで
豊橋で防災セミナー
 関西大学社会安全研究センター長の河田恵昭特別任命教授が23日、豊橋市ライフポートとよはしで「自分の命は自分で守る-その命は地域を守る」をテーマに講演した。河田氏は「危機対応に正解はない。正解を求める努力をしていくことが必要」と訴えた。
 東三河8市町村でつくる東三河地域防災協議会が講師に迎え、市民ら約300人が聴講した。
 河田氏は、昨年7月の豪雨災害では、住民約860万人に避難指示・勧告が出たものの、0・47%の約4万人しか避難しなかったことなど、近年の災害の特徴を説明。特に大きな被害となった広島県は、地質的に土砂災害が発生しやすいにも関わらず、住民たちが死亡率の高い1階で生活している点から「危ないところに住んでいるという危険を理解してない。みんな他人事」と指摘し、防災教育の在り方に疑問を呈した。
 発生が予想される南海トラフ地震や首都直下地震などでは、復旧を早める「縮災」を提唱する河田氏だが、「消防団の高齢化など災害文化が衰退している。命に対する考え方がいい加減になっており、文明の力で被害を減らそうとしてもその通りにならない」と指摘。災害ボランティアの課題や地域コミュニティの市民力・防災力向上の必要性を唱えた。
 また、多くの震災孤児、遺児を出した東日本大震災を教訓に「答えの出ない悲しみをつくらないという決心が必要」と力を込めた。
(飯塚雪)
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