四海王などの清酒で知られる酒蔵「福井酒造」(豊橋市中浜町、福井知裕社長)は、海外での販売に力を入れる。現在はアジア圏を中心に売り上げの1割以上が海外を占め、将来は3割を目指している。
少子高齢化の影響で清酒の国内販売の減少が続いていることから、海外に活路を見出したいと、2013年から海外への販売を本格的に取り組み始めた。
豊橋の食に関わる企業と協力して、海外の食品展示会に出展。現地で日本酒を扱う卸売業者に評価され、徐々に海外での販売が広がっていった。
現在はタイ、香港、シンガポール、台湾、中国、マレーシアなどアジア圏を中心に販売。近年は欧州にも目を向け、今年3月には日本酒造組合中央会に加盟する20数社とともに、ドイツ・デュッセルドルフのイベントに出展する。
福井社長は「日本酒、焼酎あわせて、海外の売上比率は1割を超えた。今後はさらに販路を拡大させ、海外比率を3割まで上げたい」と意気込む。
これら酒蔵を後方支援しているのが国税庁。税金に関わる仕事をしているとのイメージがあるが、鑑定官室があり、酒蔵の技術支援を行っている。
福井酒造には1月31日、名古屋国税局鑑定官室から、主任鑑定官の飯島隆氏らが訪れた。杜氏の王砿生さんが酒造りについて、仕込みの温度、加水のタイミングなど、さまざまな質問をして、飯島氏が全国各地の酒蔵の様子を紹介しながらアドバイスした。
飯島氏は実際につくられている酒の香りや味も確認。出来栄えについては「素晴らしい。商品になるのが楽しみですね」と話した。
酒蔵が海外販売に力を入れるのは、国内の清酒販売が減少していること。国税庁によると、1973(昭和48)年度のピークには年間177万㌔㍑の国内販売があったが、2017年度には約3分の1の53万㌔㍑まで減少した。
一方で海外販売については、国際的なコンクールで受賞をするケースが増えており、世界的な評価が高まっている中、着実に増加。2018年度は金額ベースで222億円が販売され、10年前の2009
年度の71億円に比べ約3倍に増加している。
(竹下貴信)
鑑定官室の担当者から酒造りについて聞く杜氏の王さん㊨=福井酒造で