市民団体が新城の男性宅掃除
新城市の60代男性が住む民家で猫の多頭飼育崩壊が起きている問題で、二つの市民団体のメンバーが15日、この家の掃除に入った。家には50匹以上がいるとみられ、市民団体のできることには限度がある。早急な公助が求められている。
掃除を始めたのは、豊橋市を拠点に東三河全域で猫の保護活動をしている「命にやさしいまちづくり ハーツ」と豊川市を拠点に地域猫の支援活動をしている「ニャンとかしまい豊川」のメンバー計5人。いずれも女性だ。田原市から駆けつけた人もいた。新城市内には猫を保護する団体が無いためだ。
靴にカバーをかけ、雨がっぱなどで全身を覆い、道具を手にしたメンバーは、2階の部屋から掃除を始めた。パニックになった猫が次々と階段を駆け下りてきた。
床には湿気のある茶色の物体が積もっている。「おがくずですよ」とメンバーの女性。家の男性が、猫の尿を吸い取らせるために、一面にばらまいたという。
そしてまた猫がそこで尿をして、という悪循環が繰り返されていたようだ。「猫のトイレの数は、猫の個体プラス1個と言われています」と「ニャン豊」の夏目智子副代表。家の中には10個もない。
床をほうきで掃くと、茶色いかたまりができた。窓のサッシにも同じようなかたまりがあった。
壁や窓、扇風機には毛がこびりついている。壁を払うと、部屋一面に毛が舞った。二重にしたマスクの隙間から入り込んでくる。
猫たちの姿が見えなくなった。1階に降りると、かつてはミニシアターだったという部屋のベッドの下に隠れていた。男性は掃除の前に、2時間かけて壊れたスピーカーなどを玄関の前に出していた。今後、この部屋も掃除することになる。
午前10時から始まった作業は午後3時半に終わった。豊橋の動物病院長が駆け付け、状態の悪い猫2匹を収容した。
「ハーツ」と「ニャン豊」は、部屋を掃除して猫の健康を回復させるとともに、体力のある個体から不妊・去勢手術を受けさせる準備をする。また、皮膚病になったり、けがをしたりしている猫の治療を受けさせる。
現在のところ公費助成はなく、費用はすべて持ち出しとなっているため、寄付を募っている。また、掃除を手伝ってくれる人を求めている。詳細は両団体のブログ=QRコード=から。なお、両団体とも猫の引き取りはしていない。
【山田一晶】
床を掃くとおがくずと猫の毛のかたまりができた
「ニャンとかしまい豊川」㊧と「命にやさしいまちづくり ハーツ」のQRコード