本紙が縁で五十嵐輝子回顧展実現

2020/10/18 00:00(公開)
「サントリーニの午後」などを展示する内藤さん=ボンファンで
 豊橋美術展委嘱作家だった故五十嵐輝子さんと、孫で女子美術大学大学院在学中の伊藤夏実さんによる「五十嵐輝子回顧展 孫の伊藤夏実の小作品と共に」が、東愛知新聞の記事が縁で実現。豊橋市草間町のアニバーサリーレストラン「ボンファン」で開かれている。31日まで。
 五十嵐さんは1935年、奈良生まれ。女学校時代から植物をモチーフに水彩画を描き、保育短大卒業後は保育士として働いた。機会あって女流画壇「朱葉会」の一員となり、風景を中心に静物、人物の油彩画制作に打ち込んできた。制作の傍ら、個人の制作のほか、市内で指導にも携わり、2013年に78歳で亡くなる直前まで絵筆を握っていたという。
 残された夫が今年亡くなり家を取り壊すことになったが、大量の遺作がそのままに。「廃棄するのは忍びない」と、解体を請け負った業者「エイコウ」が遺族の了解を得て展示希望者を募ったところ、これを報じた本紙記事をボンファンの内藤進オーナーシェフが読み、大小17点を譲り受けた。
 五十嵐さん宅は店から近く、お客として食事に訪れていたことも分かり、「ご縁を感じる」と内藤さん。店内には、本紙でも紹介した朱葉会展出品作「サントリーニの午後」など、内藤さんお気に入りの作品がずらり。白壁を美しく彩った。
 伊藤さんは幼少時から大学に上がるまで五十嵐さんの制作風景を見て育ち、女子美術大学洋画専攻を卒業後、大学院へ進んだ。神奈川県美術展など数々の公募展で受賞を重ね、個展やグループ展も積極的に出品する。
 今回は新作を含め、常に動きながら均衡を保つ物体の状態を鮮明な色彩で表した、大小の油彩画を発表。「(祖母の活動は)自分にとって人格形成にも影響を与えた。亡くなってはいるが、一緒に作品を並べられたことで筋がつながった感じがする」と伊藤さんは話す。
【田中博子】
色鮮やかな夏実さんの作品
続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。
最新記事

日付で探す

藤城建設 さわらび会 虹の森 蒲郡信用金庫 住まいLOVE不動産 光生会
hadato 肌を知る。キレイが分かる。 豊橋法律事務所 ザ・スタイルディクショナリー 全国郷土紙連合 穂の国