豊橋署など交通安全啓発活動
豊橋市向山大池町の「東三河環状線」で昨年3月5日夜、信号機のない横断歩道を自転車に乗って横断中だった県立豊橋東高校の男子生徒が乗用車にはねられて死亡した事故から1年になる。豊橋署などは4日、現場付近で交通安全啓発活動を実施した。
現場は片側2車線の道路で過去にも人身事故が起きていた。同署は、地元の向山校区自治会に横断歩道の撤去を提案。自治会メンバーが話し合い、同年6月に廃止が決定した。現在は横断歩道の白線が消され、渡れなくなっている。
豊橋東高校は事故を受け、在校生が学校周辺や通学路で感じた危険箇所を記入し、交通安全マップを作る取り組みを始めた。また、交通安全講話などを開いている。
この日の啓発活動は、同署が事故を風化させないと考えたために開かれた。市民に交通安全意識を高めてもらう。鈴木彰署長をはじめ、向山校区自治会の高野英司会長、豊橋東高校の木下勝義校長、署員、自治会メンバー、学校職員など約20人が参加した。鈴木署長らが現場で献花した後、参加者全員で1分間の黙とうをささげた。
その後、南に約200㍍の「大池南」信号交差点に移動し、のぼりやサインボードを使い、自転車の人や歩行者に交通安全を呼びかけた。また、この日朝は同校の生徒会が校門で生徒に交通安全を促したほか、学校職員らが事故現場付近などで交通安全について指導した。
木下校長は、全校生徒に対し「悲惨な交通事故を風化させてはならい。交通ルールを守っても事故に遭うことがある。自転車はスピードの出し過ぎで事故の加害者になってしまう」と伝えた。
啓発活動に参加した高野自治会長は「メンバー全員、向山から死亡事故の被害者、加害者を出さない気持ちで参加しています。これからも活動を続けます」と話した。
鈴木署長は「自転車利用者にはヘルメット着用や横断歩道での左右確認など、安全な横断の仕方を広報していきたい。自動車は歩行者妨害の取り締まりを強化し、歩行者や自転車が優先して渡れる交通環境にしていきます」と語った。
【林大二朗】