公募展「2025年日本美術展覧会(日展)」の第二科洋画で、豊橋市の早川洋介さんが作品「刹那蜻蛉舞(せつなかげろうまい)」で初入選した。23日まで、東京の国立新美術館で展示されている。
日展は118年続く、日本最大の公募総合美術展。日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5部門に全国の作家からこん身の作品が寄せられた。
早川さんは1958年生まれ。大阪芸術大学、パリ国立美術大学などで研さんを積み、国内外で発表を続ける。現在は新洋画会会員理事で東海支部長。絵画教室「Yosuke会」も主宰する。
「刹那蜻蛉舞」は、早川さんが何度も足を運んでいる静岡県浜松市の古刹(こさつ)「奥山半僧坊(方広寺)」を題材にした作品。木漏れ日が差し込む緑の中にたたずむこけに覆われた岩と、秋になると飛び交うカゲロウをモチーフに重厚感ある筆致で描いた力作だ。年月を重ねた岩と、ともすればはかない命のように感じるカゲロウの姿を描くことで、単なる風景画ではなく、自分を含めた自然や生命の営みを力強く描いている。絵の具を重ねながらも「画面の動きや抜け感を意識した」という、空気の流れを感じさせる作品に仕上げている。
「独学で絵に打ち込んできたが、入選したことで自分のスタイルや方向性に確信が持て、モチベーションも上った。応援してくれた妻にも感謝している。次回も挑戦するつもり。温めてきた構想の作品化に取り組んでいる」と早川さんは喜びを語る。作品は来年1月28日から県美術館で開かれる「日展名古屋展2026」でも鑑賞できる。
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愛知県豊橋市生まれ。大学卒業後、校閲記者として入社。1年後に報道記者に転身した。2020年から報道部長。芸術、福祉、経済・奉仕団体などを担当する。趣味は、かなりジャンルに偏りのある読書と音楽鑑賞。思考のそっくりな一人娘と趣味を共有している。
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