南山大の学生ら企画開発で商品化へ
南山大学の学生らが、目の不自由な人と健常者が一緒に遊べるカードゲーム「タッチャレ」を企画開発した。16日、田原市の視覚障がい者団体「さくらんぼ」のメンバーが同市赤石の田原福祉センターでタッチャレを使って遊んだ。
トランプに似た16種類2枚ずつ計32枚のカードセット。カードには三角や四角など4種類の記号が、「ざらざら」「つるつる」といった4種類の触感を出す印刷方法で描かれている。触覚だけで16枚のカードを判別できるようになっており、指先の感覚だけでババ抜きなどのゲームを遊べる。
企画開発したのは同大学経営学部で川北眞紀子教授が指導するゼミ生の田中なつ子さん、中山絵里加さん、市川雄大さんの3年生3人。「スチューデント・イノベーション・カレッジ」という大学ゼミ対抗で商品企画の商品化を目指すイベントで、「社会課題を解決する印刷商品」のテーマに挑戦した。市川さんが親戚の視覚障がい者と一緒に遊べなかった経験から発案した。
田原でテストプレー
さくらんぼ代表の柳田知可さんも試作当初から関わり、意見を寄せた。昨年12月の審査の結果、3人はプラン優勝と部門優勝、学生賞を獲得。売り上げ実績などで今秋に総合優勝が決まるため、本格的な製品化を前に、さらなるブラッシュアップの一環として、さくらんぼにテストプレーを頼んだ。
田中さんらは柳田さんを含めたさくらんぼの視覚障がい者とボランティア計10人とテーブルを囲み、ババ抜きなどを遊んだ。さくらんぼメンバーは最初は不慣れなところもあったが、コツが分かると目の見える人と変わらずに遊べる。「面白い」と声が上がった。ゲーム後のアンケートでは「一部判別が付きにくい触感がある」など、障がい者の立場から改善要望が出た。
田中さんは企画開発を通して、さまざまな学びがあったと話す。「最初は自分たちの立場だけで考えていた。できたものを遊んでもらい、遊びづらい、という声をもらって、自分たちが視覚障がい者に一方的に寄り添っているつもりになっていたこと、足を使って生の声を聞きにいくことが大切だと分かった」と話した。
今年夏頃の商品化を目指している。
【岸侑輝】