創業98年の豊橋・ツバメ屋楽器店が20日閉店

2023/03/18 00:01(公開)
20日に閉店する「ツバメ屋楽器店」=豊橋市萱町で
 創業98年。地元の演歌、歌謡曲ファンやカラオケ愛好者から絶大な支持を得てきた豊橋市萱町の「ツバメ屋楽器店」が、今月20日をもってその歴史に幕を閉じることになった。間瀬敦夫社長(88)は、長年の愛顧に感謝している。
 1926年、広小路通りで開業。戦争を経て、現在の地へ移転した。65年頃に間瀬社長が父から家業を継ぎ、これまで切り盛りしてきた。蓄音機やレコード盤に始まり、カセットテープ、CDやDVDなど、時代に合わせたアイテムを取り扱ってきた。販売する音源も、クラシックからジャズ、民謡や長唄などの邦楽、落語、演歌や歌謡曲まで多岐にわたった。
 レコード店が珍しかった時代は、市外から足を運ぶ客も少なくなかったという。「立派な身なりの人が遠くから買いに来ていました。昔は飲食店にレコードの配達に行くこともあったんですよ」と、当時を振り返る。
 やがてカラオケが一般に浸透し、ブームを迎えると、演歌や歌謡曲に強い同店は多くの愛好家に支持される。新曲などのキャンペーンに訪れる歌手も多く、その度に店は一目見ようと集まったファンの熱気であふれかえった。「田端義夫さんや岡晴夫さん、氷川きよしさん、山内惠介さん、天童よしみさん、島倉千代子さん…いろいろな人が来てくれましたね」と間瀬社長。キャンペーンは昼夜を問わずあり、見せてくれた写真には店の通路を埋め尽くしたお客さんの姿があった。
 しかし、そんな店を新型コロナウイルス禍が襲う。感染拡大防止の観点で各種イベントは中止が相次ぎ、愛好者が自由にカラオケを楽しむこともままならなくなったのだ。店への影響も多大だった。間瀬社長の健康上の理由もあり、子どもたちもそれぞれ独立していることから、やむなく店を畳むことを決めた。
 「あと2年で創業100年だった。残念だけど」と間瀬社長。閉店を惜しむ声も常連客らから届く。「みんな寂しがってくれた。今まで長い間本当にお世話になりました。時間ができるので、のんびり旅行でもしてみたい。20日までは頑張ります」。歌手のサイン入りポスターがたくさん貼られた店内で、苦楽を共にした妻とともに、間瀬社長は穏やかな笑顔を見せた。
【田中博子】
思い出を語る間瀬社長
昭和40年代の同店(提供)
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