賃貸住宅のかかりつけ医に

2023/08/22 00:00(公開)
住みたいと思う家にするには。空き部屋を見て思案する山本社長=豊橋市内で
豊橋のリフォーム「カラークラフト」

 全国の1400の不動産会社と連携し、賃貸物件の入居率の向上を目指すのが不動産業「JPMC」だ。ここと連携する企業のひとつが豊橋市上伝馬町にある賃貸再生事業「カラークラフト」。昨年度にリフォームした棟数で全国1位に輝いた。空き部屋だらけの賃貸物件を満室にする先に見ているものは何か。取材した。
 地方都市の衰退に伴い空き家問題が深刻化する。総務省の2018年の調査によると、全国の空き家の数は846万戸、5年前と比べて26万戸増えた。空き家率は13・6%に上っている。
 「アパートを建てた当時ではなく、今この瞬間に部屋を探している人に暮らしたいと思ってもらわなければ、空き部屋は永遠に埋まらない。原状回復の修繕をしても30年前が再現されるだけなのです」。カラークラフトの山本知一社長は話す。
 創業14年。空き部屋率の高い物件を見つけては、魅力的に生まれ変わらせて入居率を高めてきた。これまでに毎年100戸以上をリフォームし、計700超を満室にした。入居率は常に96%以上を維持している。
 空き部屋だった物件を今の若者にとって魅力的な部屋に生まれ変わらせる。ネットを通した効率的な広報により賃貸の空き部屋を埋め続ける。
 山本社長は、その喜び以上に地域が抱える空き家問題に向き合うという社会的責任を痛感するようになったという。
 住宅との向き合い方について悩んだ末、たどり着いたのは人間と同じように賃貸物件に「天寿を全うしてもらう」という価値観だ。SDGs(持続可能な開発目標)と同じ発想。新築し、30年ほど住んでもらい、未来に合わせてリフォームをし、また30年ほど住んでもらって解体し、また新築で生まれ変わる。
 山本社長は「悪くなったから壊すのではなく、人間と同じで丁寧に治していくことで建物の健康寿命を延ばしたい。『賃貸住宅のかかりつけ医』みたいな存在になりたい。日々、どこを歩く時も空家の多い物件がないか目を光らせています」。豊橋発の賃貸住宅のかかりつけ医の訪問診療は続く。
【本紙客員編集委員・関健一郎】
新築アパート。30年後の空室対策を意識している=豊川市内で
大家の思いや悩みに耳を傾け空き部屋ゼロを目指す
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