豊川稲荷で迎春準備の鏡餅づくりが続く。28日は十数年ぶりとなる「大法会(だいほうえ)餅つき」があり、約20人の僧侶が経を唱えながら餅をついた。
1年の感謝を込める。僧侶の減少などで休止していたが、季節の行事を重視する福山憲隆住職が復活を決めた。
食事を用意する「庫院(くいん)」に、臼ときねを用意。僧侶が向き合って座り読経した。その中で、蒸されたもち米を臼に入れ、僧侶が交代できねを使ってつきあげた。できた餅は鏡餅にして本尊へ供えた。
また本堂には前日までに直径1・8㍍や1㍍の2段重ねの大鏡餅も供えた。来年1月9日まで建物各所に大小500個が並ぶ。
福山住職は就任した2年前から、伝統行事の復活に力を入れる。1954年に休止した「午年開帳」も2026年の復活を目指す。夜間参拝「ヨルモウデ」など、参拝者を増やす取り組みにも努めている。
大鏡餅の軽量化に成功
大鏡餅は、大きなもので直径1㍍、重さ100㌔。本堂へ供える時の運搬作業は悩みの種だった。加えて、供え終えて小分けする「のし餅」も、新型コロナウイルス禍の影響で難しくなった。
関係者の一人が豊橋技術科学大学へ相談したところ、滝川浩史教授(電気・電子情報工学系)と川合悦蔵特任教授らの連携で、大鏡餅の軽量化に成功した。外観は同じだが、大幅に軽くなった鏡餅が備えられた。
素材は発泡ポリウレタンを使い、大きな芯と鏡餅の表面に似せた形に成型加工した。その外側に餅を貼り付けて仕上げた。大きさは同じだが重さは3分の1にまで抑えられた。餅米の使用量も減り、食品ロス防止にも役立つと期待している。
当初は3Dプリンターで樹脂製レプリカを検討したが、材料費などがかさむため断念。川合特任教授の紹介で豊川市御津町の山口化成工業が素材選びと加工に協力した。
滝川教授は「ようやく形になって安心した。今後は容器の再利用も含めて検証したい」と述べた。
【竹下貴信、加藤広宣】
豊橋技科大などの協力で3分の1に軽量化された大鏡餅。本物そっくりだ