改正道路交通法の施行で、昨年4月1日から自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務化された。それから1年。東三河の市町村や署は、各地で交通安全教室やキャンペーンなど啓発活動を進めてきたが、若者の着用率の低さが問題となっている。
ヘルメットの着用率は年々高まっている。豊橋市では「市自転車の快適で安全な利用の推進に関する条例」が施行された2019年は5・3%だったが、昨年は23・6%になった。一方で10代は12・5%にとどまる。市安全生活課の岡元奈保子さんは「着用義務のある小中学生と高齢者の着用率は高いが、高校生、大学生が課題」と話す。
豊川市でも同じ傾向だ。豊川署が市内の高校生1251人に調査したところ、着用率は8・1%にとどまった。高校生がヘルメットをかぶらない理由として「面倒」「かっこ悪い」「髪型が崩れる」「みんなしていない」が上位になった。
各署でさまざまな取り組みをする。県警は「ヘルメット=かっこ悪い」というイメージを払しょくするため、交通課の公式X(旧ツイッター)にかっこよくヘルメットをかぶる市民の姿を載せている。豊橋署も、豊田市の自転車部品販売「サギサカ」と連携し、県立豊橋西高校と豊橋工科高校の校内に、さまざまな種類のヘルメットを展示することになった。豊橋署交通課の村松具己課長は「最近は軽くて帽子型の商品も出ているのを知ってもらいたい」と狙いを語る。
教育現場ではどうか。高校では、着用は生徒の判断に任せている。豊橋中央高校では昨年8月から、練習場のグラウンドまで自転車で通う野球部員40人がモニターでヘルメットをかぶり、着用を呼び掛けるキャンペーンを始めた。豊橋西高校は22年から月1回、登校時に生徒会や教諭らが啓発活動をする。だが同校の教諭は「10人に1人が着用しているかどうか」と話す。別の学校関係者は「義務化すればよいという声もあるが、厳しくしすぎると志望者数が減ってしまうのではないか」と心配する。
東三河の5市では、ヘルメットの補助金制度がある。豊橋市では、他市に先んじて16年に導入。市内在住のすべての人を対象に、購入金額の2分の1(上限2000円)を補助する。初年度から年々申請数は伸び、昨年度は19年度の約3倍の955万円に。ほかの市でも額が伸びている。
新たな課題も出ている。国民生活センターによると、大手インターネット通販サイトで、規格外商品が数多く流通しており「性能が低い」と注意喚起する。豊橋市宮下町で自転車店「サイクルプラザタカノ」を経営する高野守夫さんは「店舗での購入は問題ないが、オンラインショップなどではSGマークやJCFマーク、CEマークがついているか確認して」と話した。
【北川壱暉】