13日から恋愛アニメ「負けヒロインが多すぎる!(マケイン)」が放映されることを受けて、ファン40人がJR豊橋駅の連絡通路のビジョンに「お祝い広告」を出した。SNSで仲間を募って資金やキャラクターの二次創作物「ファンアート」を集め、完成にこぎつけた。30日まで。
広告の配信が始まった6月30日、駅ビルの「カルミアビジョン」前には、何人ものファンがスマートフォン片手に映像を見ていた。この日は先行上映会もあり、豊橋市外から来た人もいた。
15秒の広告は「祝アニメ化」の文字で始まり、主要キャラクターの八奈見杏菜や温水和彦ら8人が次々と映し出された。応援メッセージも添えられていた。「おめでとうございます!応援しています!」との言葉で締めくくられ、集まったファンは終わった後も数十分後に流れる次の映像を待ち、繰り返し広告を見ていた。
企画したのは発売当初から作品を愛する30代女性。かわいいイラストと負けヒロイン同士の切ない人間模様にひかれ、はまっていった。
昨年12月にSNSでアニメ化を知った。「舞台となった豊橋市から作品を全国に広めたい。原作チームに感謝の気持ちを伝えたい」。作品愛にかき立てられ、思いついたのが「お祝い広告」だった。数年前に、Vチューバー(バーチャルユーチューバー)の誕生日の広告を名古屋駅内で見たことがあり、放映初日に合わせて広告を出そうと思いついた。
ただ、道のりは長かった。広告出稿は全くの素人。出版社への版権の確認や、ビジョンの管理会社とビルオーナーへの申請、資金の集め方の計画づくり、広告の内容決定など多岐にわたり、日付が変わるまで作業することもあった。
素材や資金を集める前に広告出稿の申請を始めたため、失敗は許されない。「無謀なチャレンジだと感じていたが、マケインのファンの愛の強さに賭けた」と話す。
5月2日に1口4000円で募集を始めると、思った以上の反応があった。開始1週間で半分の募金が集まり、最終的には16万円が集まった。「ファンの温かさに感動した」と喜んだ。
募金に協力した豊橋市吉川町の岩崎英司さん(44)と新城市富沢町の杉本智之さん(47)は「企画者に頭が上がらない。さらに多くの人に愛される作品になってほしい」と語った。
【北川壱暉】