蒲郡沖でカキ養殖事業化に挑戦へ

2024/08/06 00:01(公開)
稚貝を三谷漁協の漁場に投入する漁協組合員=蒲郡市内で
蒲郡市漁業振興協が検証を進める

 蒲郡市の蒲郡漁協と三谷漁協で組織する市漁業振興協議会は、蒲郡の沖合でカキ養殖の事業化に挑戦しようと検証を進めている。2日、三谷地区と竹島地区の漁場に生食用マガキの稚貝を投入した。協議会長で三谷漁協の小林俊雄組合長は「始まったばかり。長い時間をかけて技術を確立できれば、期待できると思う」と話した。
 会は各漁協の親睦を図りながら、漁業知識の交流と技術経営の近代化、水産業の振興発展に向けた調査、研究をしている。
 養殖は市などと連携し、昨秋から始めた。中心のアサリ漁などをしながら、兼業として養殖することで市内の水産業に持続可能をもたらす。「育てる水産業」の推進と漁師の所得向上につなげ、若い世代に漁業に興味を持ってもらう。
 現在は試験的に養殖ができるかの確認と検証をしており、販売はしない。しかし、将来的には区画漁業権を獲得し、新たな蒲郡のブランドとして販売、流通させ、観光業などの産業振興にもつなげたいとしている。
 昨年はカキのスマート養殖事業を展開する「リブル」(本社、徳島県)の技術指導などを受けながら、三谷漁協の漁場で小規模で取り組んだ。今年は蒲郡漁協の竹島地区を加えて大規模にした。各漁場で違う条件下でどんなカキができるのか、必要な作業人数を試算し、実際に兼業が可能かを調査する。
 この日、三谷漁港ではリブルの早川尚吾CEO(最高経営責任者)が1万500個の稚貝を用意した。三谷漁協の組合員と一緒に稚貝を専用の筒に入れた。その後、漁場に設置した50㍍のはえ縄3本にかごを取り付けた。今後は8~10カ月の期間でカキの生育の様子を見ながら、リブルから管理の仕方を教わる。
 早川CEOは「カキは生態としてタフな生き物で養殖に導入しやすい。インドネシアでは、日本から届く品質の高いカキのニーズがすごく高い」と話した。「新たな取り組みとして始まることはうれしい。海の特性に合わせてのやり方を助言したい。地元漁師と協力して今後も続くような産業にしていきたい」と述べた。
【林大二朗】
投入したマガキの稚貝
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