長期入院中の子どもたちの学習を最新技術で支援しようと、元豊橋市長の佐原光一さん(71)が遠隔操作できるタブレットスタンド「アバターロボットKUBI」を市に寄贈した。10日、市民病院で贈呈式があった。
2008年11月から3期12年豊橋市長を務め、昨秋の叙勲で旭日中綬章を受章。今年4月に開かれた「旭日中綬章を祝う会」の席上、出席者に当日の引き出物代を子どもたちの学習支援に役立てたい旨を報告し、会場から賛同を得た。
市に打診し、6月には弱視の児童生徒らに不自由なく授業を受けてもらおうと、視覚障害者用読書器の購入費用を寄付。今回は市民病院に長期入院する小中学生に向け、遠隔教育が受けられる「アバターロボットKUBI」を寄贈した。
取り付けたタブレット端末が上下左右に遠隔操作でき、ロボットを学校に置けば、病室にいながら黒板や先生の顔を見ながら授業が受けられる。休み時間には級友とコミュニケーションをとることもできる。現在、市民病院には1台あるが、型が古くて部品もないため故障が心配だったという。今後は市民病院に入院した子は、院内学級、タブレット学習、アバターロボット活用と、学習の選択肢が広がる。
贈呈式では佐原さんが原田憲一教育長にアバターロボットを手渡した。病気で1年遅れとなった学生時代の同級生のエピソードを話し「遠隔で授業が受けられたら、勉強が遅れることなく友達と一緒に卒業できる。子どもたちの学習環境を守りたい。有効活用してほしい」と語った。原田教育長は先に寄贈された読書器についても礼を述べ「入院中も希望を持って退院に向け努力してもらえると思う。今後も個に寄り添った教育をしていきたい」と感謝した。
佐原さんは今後、市総合動植物公園の支援も考えているという。
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愛知県豊橋市生まれ。大学卒業後、校閲記者として入社。1年後に報道記者に転身した。2020年から報道部長。芸術、福祉、経済・奉仕団体などを担当する。趣味は、かなりジャンルに偏りのある読書と音楽鑑賞。思考のそっくりな一人娘と趣味を共有している。
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