東三河エリアで地域課題の解決に挑む高校生起業家が現れた。注目は県立豊橋商業高校3年の萩本陸汰さん(18)。生成AIを駆使した副業から営業代行まで多彩な事業を展開し、「高校卒業までに生活費を自分で賄う」ことを目標に走り続ける若き起業家だ。
萩本さんが「稼ぐ力」に関心を抱いたのは中学3年の頃。株式投資を学ぶ父の背中を見て、「投資で年数%を得るより、ビジネスで一気に価値を伸ばしたい」と考えた。高校進学後「起業家実践」などの授業から刺激を受け、高校2年時に動画サイト「YouTube」で情報収集を始め、AIライティング講座に参加。クラウドソーシングで記事執筆を請け負い、ゼロから報酬を得る経験を積んだ。
現在は生成AI「ChatGPT」のカスタムGPTの作成と販売、ビジネススクール等の営業代行の二本柱で月収を伸ばしている。「AIで課題を解く面白さと、人に価値を届けて感謝される瞬間が原動力です」
壁もある。「AI副業の最初の一歩は簡単に踏み出せたが、収益を安定させ10万円規模へ伸ばす段階で苦労している。一方で、自分の力で初めて報酬を得たときの感動や、お金を稼ぐ手段がアルバイト以外にもあると知れた喜びは大きく、挑戦してよかったと感じている」と、前向きに解決しようと動いている。
将来のビジョンは、犬猫の殺処分ゼロ。「保護活動には資金が欠かせない。寄付を継続的に行える仕組みを、事業を通じてつくりたい」。起業はあくまで手段。社会課題を解くことが目的だ。卒業後は大学進学を選ばず法人化を検討し、月商100万円を目標に事業を拡大する。
豊橋商業高校は120周年を迎える伝統校だが、実学を重んじる校風が萩本さんを後押ししている。間瀬泰宏校長は「商業教育の到達点はリアルビジネスの創出です。就職、進学に加え『起業』という第三の道を切り開く生徒を育てたい。今回の萩本くんはその理想像であり、彼が起爆剤となって豊橋商業から活躍する高校生起業家が続いて生まれてきて欲しい」と語る。
萩本さんは今夏、地域学生向け起業プログラム「火―Okoshi」にも参加予定だ。「多様な刺激から次の事業のタネを見つけたい」。高校生起業家の挑戦は、東三河を舞台にさらに加速しそうだ。
・所属:県立豊橋商業高校3年
・事業内容:AIツール開発/営業代行/ブログ運営
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Lirem創業者。2000年1月11日生まれ。山口県宇部市出身。2020年3月、宇部工業高等専門学校を卒業、同年4月、豊橋技術科学大学3年で編入、在学中の2021年10月にLiremを設立して代表取締役に就任。現在は起業家支援事業や事業会社のイノベーション促進に向けた研修プログラムを提供する。「火―Okoshi」も運営する。
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