豊橋市下五井町にある豊橋魚市場は、今川義元が1553年に許可を出した。現在まで約500年の歴史を刻む。
市街地から現在地へと移転して60年、東三河の食卓を支える拠点として機能してきたが、昨今の人口減少や魚離れ、流通の変化に、危機感を抱いている。こうした中、魚市場は一般の人の来場を促すため、毎月第2、第4土曜に「魚河岸お客様感謝デー」を開いている。午前9時からの「素人競り」は、一般の人が対象で、魚、肉、野菜などを市場価格の半額以下で競り落とせることもあり、人気だ。さらに午前8時からの原価割れ覚悟の「朝市コーナー」には、早朝から長蛇の列ができる。
このような取り組みの背景にあるのは、「市場を未来につなぎたい」という職員の思いだ。その一人が、鮮魚部の若手職員、後藤誠弥さん。競りや、全国の市場からの仕入れ、仲卸業者との価格調整や販売など、幅広い業務を担当する。魚好きの家庭で育ち、食への興味から市場に飛び込んだ。
「最初は不安でしたが、今では自分で判断する機会も増え、毎日が学びの連続で、楽しく仕事をしています。そしてやっぱり魚が好きなんですよね」と語る後藤さん。
豊橋魚市場では、20~40代の社員が半数以上を占め、多くの若手社員が活躍している。これから、若い力で豊橋魚市場がさらに盛り上っていく姿が楽しみだ。
総務・広報担当の市原卓さんは「豊橋に、これだけの伝統を持ち、多くの魚や魅力的な商品が集まる市場があることを伝えたい。そして、一人でも多くの方に現場の熱気を体感してほしい。価格だけでなく“たのしさ”でも満足できる場所にしたい」と話す。
住所:豊橋市下五井町青木110
電話:0532・54・5511
営業:早朝から午前10時頃まで
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鎌倉市出身の45歳で四人の子育て真っ最中。NHK記者として11年仕事をしてきた。その後、豊橋に住んで今年で10年目。東三河地域でいまだ日の目を見ぬ素晴らしい取り組みをしている企業に東愛知新聞で光を当てることができるよう取材している。趣味はサッカーと筋トレ。
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