アリーナ問題の取材を続けた加藤広宣記者に、山田一晶編集長が聞いた。
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【豊橋新アリーナ】住民投票は賛成多数で結了、長坂市長「重く受け止める」
―なぜ住民投票になったのか?
◆昨年12月市議会では市長の不信任案提出という意見が浮上した。一時は賛成派の市議が真剣に議論したが立ち消えになった。3月市議会で賛成派市議らの予算組み替え動議により、当初予算にはなかった新アリーナ関連事業費が補正予算で復活した。審議では長坂尚登市長が執行要件に住民投票を挙げた。
アリーナは「三遠ネオフェニックス」の新リーグ「Bプレミア」参入要件の一つ。整備再開期限は今秋。住民投票で市民の判断を仰ぐしか残された道はなかった。
自民の山本賢太郎市議によると、5月臨時会までの会派協議で、住民投票実施時期が夏か秋かで議論となった。秋はBリーグ開幕時期のため困難だ。5月の住民投票決定までの土台が4月下旬には整いつつあった。
―不信任の動きは?
◆一部会派が消極的で実現しなかった。3月議会では市長の法定ビラ問題もあったが問責決議で終わった。不信任決議で市長は議会解散を選べる。任期が多く残る中で解散を望まない人もおり、一枚岩ではなかった。
―なぜ賛成が多数に?
◆推進派は「新アリーナを求める会Neo」と「新アリーナ・豊橋公園整備を応援する会」の2団体が連携し、それぞれの役割を担った。「Neo」の小林佳雄代表はカリスマ経営者の手腕を生かし、情熱的な語り口でアリーナやまちづくりの未来を語ったのが聞き手の共感を呼んだ。
「応援する会」は若手が多く、SNSやインターネット動画で複雑な事業計画の論点を整理した。竹内裕二代表も効果的に運動を展開できたと明かしている。
反対派は問題点を指摘する手法はたけていた。「ハコモノ」の住民投票は反対が圧倒的に有利とされる。だが閉塞感の中、推進派がハコモノへの悲観的な印象を打ち消す前向きな説明で支持を広げたことが奏功した。
―市民の分断は。
◆特にSNS上では大きな課題を残した。中傷や激しい言葉のやり取りもみられた。長坂市長が掲げる「自分たちのことを自分たちで決められるまち」を進めるうえで、住民投票も手法の一つ。それには膨大なエネルギーが必要と多くの市民が体感したはずだ。
学問上では「民主主義の補完機能」がうたわれるが、SNS時代に適用した場合は争いの種にもなりうるとも分かった。より適切な運用など検証も必要ではないか。
―今後の見通しを。
◆長坂市長は、就任翌日に事業者との契約解除へ向けた協議申し入れを指示した。今回も同様に事業再開へ速やかな手続きが必要になる。遅延損害金は1日150万円ともいわれる。
豊橋公園の立地を嫌う反対派の中には、住環境への影響を懸念する人も多い。小林代表と竹内代表も、駐車場や公共交通、ごみや騒音など近隣住民への配慮も含め今後も取り組むべき課題として挙げ、市民を巻き込んで現計画の磨き上げの必要性も指摘した。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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