東京都武蔵野市にある成蹊大学経営学部の学生が菊の生産量日本一の田原市の農家と連携し、菊の新たな価値提案をテーマとした特別講義とワークショップを大学で開いた。600人の学生が参加した。
「仏花」のイメージが強い菊の消費減少という課題に対し、若者世代の視点から新しい可能性を探る。プロジェクトは、学生4人でつくるチーム「はなおもい」が運営した。メンバーは川村華音さん、山下夏歩さん、小野晋太郎さん、権瓶希空さん。山下さんがゼミ1期生の頃から田原市の花農家と縁があった。花き産業の実態調査を通じ、菊は仏花のイメージが強く、消費が減っていることを知り、若者に向けて菊の新しい可能性を見つけることを目指した。
前半は、田原市の現役菊農家でJA愛知みなみ組合員の渡会理史さんと越川智尋さんがゲストとして登壇した。花き産業の仕組みや現状、そして「仏花」としての需要減少という課題について説明した。近年の墓じまいや葬儀の縮小という社会的変化が、需要減少の背景にあるという。
後半のグループワークでは、「菊=仏花」という固定観念を拭い去るため「どのようなコンセプトか?」「誰に届けたいか?」「どのシーンで菊を活用するのか?」といったテーマで学生たちが自由にアイデアを出し合った。
最後は、渡会さんと越川さんが用意した約200本の菊が学生に配られた。洋菊を中心とした色とりどりの菊を手に取った学生からは「かわいい」「これも菊なの!?」といった驚きの声が上がった。また「『夢の煌(きらめ)き』という名前がすてきだったのでその菊を持ち帰りたい」と特定の品種に魅了される学生や、自撮りをして菊を写真に収める学生が多く、花の持つ力を実感する時間となった。
講義終了後、希望者を対象に、配られた菊を使ったフラワーアレンジメントのワークショップがあった。身近な素材で菊をラッピングする方法を学び、特別な道具がなくても花を楽しめるという気づきがあり、大盛況となった。
「はなおもい」のメンバーは、今回の取り組みを経て「洋菊だけでなく、輪菊(いわゆる仏花)に対しても新たな価値を見出したい」と考えているという。今後は仏花としての菊を次世代に受け継ぐ視点でも活動を広げていく予定だ。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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