豊橋市伊古部町でササユリの保護活動に取り組む「伊古部町笹百合保存会」は23日、高豊生涯学習センターで30年におよぶ活動を振り返る講座を開いた。
ササユリは日本にだけ生息するユリ科の多年草。関東以西の本州から四国と一部の九州に自生している。ササに似ていることから、この名がある。淡いピンクの花が特徴で5月下旬から6月上旬頃に開花する。発芽してから花をつけるまで6~7年かかるとされる。
町内ではかつて、自生する数多くのササユリが見られた。しかし、群生地がある里山の環境変化で激減し姿を消していた。1996年、前会長の田中房一さんが町内の里山でササユリを見つけたことがきっかけで、地元の人らと一緒に保存会を発足した。
98年に同町の農地開発地域に球根を移植した。2001年には咲いたササユリの種子からの育成に成功した。その後、地元の中学生と協力して「ささゆりの里」に球根を移植した。
増やし続けた結果、里は数千株のササユリが咲き誇る場所となり、地域住民や市内外の人からも親しまれている。毎年、見頃を迎える6月頃に「ささゆり祭り」を開いている。
今回、センターが地域力向上講座として企画した。現会長の伴浩志さんが地域の人に会の活動を知ってもらい、取り組みへの理解を深めることにつなげる。この日は20人が集まった。
伴さんは資料などを使いながら、活動内容を振り返った。また、23年に球根の大量盗掘被害に遭い祭りが中止に追い込まれていることやイノシシによる食害にも触れた。対策をしながら、活動を続けているとし、かつてのササユリが自生する町の風景を守り続けていることを説明した。
伴さんは「30年、多くの人が援助してくれたおかげで続けられている。ササユリを身近な存在として大切にしていきたい」と話した。田中さんは「30年にわたり活動ができたことは夢みたいだ。これも、仲間のおかげだ」と述べた。
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愛知県蒲郡市生まれ。2020年、地元蒲郡が好きで東愛知新聞社に入社。同年から蒲郡担当、市政や地域行事、文化など全般を取材。ドローンを使って東三河の名所を空撮したルポ「大二朗記者の空からの訪問」を不定期連載。これまで、三河大島や三河国分尼寺跡、日出の石門などを空撮してきた。ドローン技術向上のため、国家資格「一等無人航空機操縦士」を24年に取得。読者の皆さんが楽しんでもらえる記事と記憶に残る写真を掲載できるよう、日々、頑張っていきます。
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