今年で30周年を迎えた豊橋市のNPO法人「朝倉川育水フォーラム」は、記念誌「朝倉川の水の育てかた」を作った。「育水の日」の9月19日に合わせ、豊橋市に150冊を寄贈した。市内の全小中学校74校、特別支援学校1校に贈られる。4代目理事長の大谷忠興さん(49)は「30年間の活動を検証し、次世代へのバトンタッチを見据えて制作した。市民の皆さんに活動のことを知ってほしい」と願った。
団体は「ホタルのとびかう人里づくり」を掲げ、1995年に活動を始めた。清掃やビオトープ整備、環境調査などを市民、企業、行政などと連携して取り組んできた。現在は個人、企業の647会員が所属している。
記念誌には、朝倉川流域に生息する生き物を600種以上掲載した生き物図鑑と、団体の活動の思いを載せた。制作期間は約3年間。図鑑の生き物の写真は会員らが朝倉川で撮影した。記念誌の構成や文章の細かい表現まで、すべて手作りだ。5段階に分けた「東三遭遇難易度」など、親子で楽しめる仕掛けも入れた。
大谷さんは無類の両生類好き。「カエルやイモリなど、両生類にここまで詳しい図鑑はないのでは。ポケットサイズなので、川に遊びに行くときのおともに」と話した。
前理事長で特別理事の高橋豊彦さん(62)は、創設当時から団体に関わってきた。理事就任時は各自治会や行政の関係者との関係づくりから始めた。「最初は活動を理解されず、机をたたかれたことや怒鳴られたこともあった。だが、会員らの地道な活動のおかげで、市民らの間で『自分たちの街は自分たちで守る』という意識が高まってきた」と手応えを語る。
団体の活動は次世代にも波及している。数年前には、小中学生を中心としたボランティア団体「Little by Little」が誕生。小学生4年の授業で環境について学ぶなかで、団体と出合ったのがきっかけという。97年から続けている「朝倉川530大会」には累計5万8000人の小中高生や地域住民らが参加する。創設当初の少人数での活動を思い起こし、高橋さんは「活動を続けてきて良かった」と笑顔を見せた。
19日の贈呈式では、大谷さん、高橋さん、理事で豊川堂社長の高須大輔さんらが出席。原田憲一教育長に記念誌を手渡した。原田教育長は「育水に込めたメッセージに『人が育てる』と書かれており、教育に関わる者として感銘を受けた」と感謝した。大谷さんは「今ある活動の水準を高めていく。東三河全体の運動に広げていきたい」と抱負を語った。
今後は、まちなか図書館や生涯学習センターなどにも贈る。一般販売は豊川堂や精文館書店などで。1980円。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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