豊橋技術科学大学は３日、産学官金ネットワークイベント「イノベーションミートアップ２０２５＠技科大」を開いた。東愛知新聞社など後援。自治体や地元企業、金融機関など60社以上から計約３００人が参加し、情報交換を通じて新たなビジネス構築や協力関係を模索した。

　創学50周年のプレイベント。学内のＶＲ環境やＬＳＩ工場見学、最先端植物工場などの見学ツアー、センサー技術や産学連携の基調講演、半島帯とＡＩの活用といった事例紹介プレゼンなどが展開された。

　最先端植物工場では温室内で水耕栽培とＬＥＤで育てられているレタスや、ココナッツの培地を使い栽培しているトマトの様子を見学。自走式のロボットとセンサーを使って温度など適切な環境を整えることでレタスをより短いサイクルで収穫したり、トマトをより長く栽培したりすることができるとした。

　基調講演は６月に新工場とオープンラボを開所した学内の次世代半導体・センサ科学研究所「アイリス」所長の澤田和明教授らが登壇した。澤田教授は「ＬＳＩ／センサ技術が地域を拓く」と題し、アイリスの特徴や技科大の半導体人材育成史、技科大発のセンサー技術などを紹介。センサーに関するマーケットが安定した成長を続けており、２０１８年から約30％増大していること、センサーから得られる膨大でさまざまなデータが省エネ化や生活環境向上など現代社会に不可欠になっていることなども語った。

　ＡＩの発展により、高選択性のセンサーを無数に詰め込むよりも、幅広い事象を計測できる低選択性のセンサーから得られたデータを分析する取り組みが進んでいることや、センサー機能をチップ１枚にまとめた「マルチモーダルセンシング」など技科大の技術を使った産学連携の取り組みを例に「本学ではワンストップで新しいセンサーを開発できる。ぜひこの半導体の環境を活用してほしい」とＰＲした。

　学生ホールでは参加企業の取り組みや技科大の技術を紹介するポスター展示があり、参加者が活発に意見を交わした。