プロ野球ドラフト会議が23日に東京都内で開かれる。東三河ゆかりの選手でプロ志望届を出している4人を紹介する。
①名商大の永井大雅選手 135キロ右腕から長距離砲へ! 野手転向でプロに挑む
②「追い抜いてやる」悔しさ糧に成長 豊橋中央・松井蓮太朗選手、憧れは巨人監督の阿部慎之助
➂「投手でいく」あの日の言葉が原点 豊川・中西浩平、恩師と歩んだ3年間
➃“迷ったら振れ”恩師の教え胸に 帝京大・彦坂藍斗選手、夢の舞台を目指す
豊川市出身で帝京大学4年の彦坂藍斗選手は、広角に弾き返す左の好打者。大学1年春は打率1割前半だったが、大学3年春にリーグ首位打者に輝き、プロ注目の選手に成長した。
幼稚園年中から二つ上の兄の影響で三河一宮ボーイズで野球を始めた。中学時代は愛知豊橋ボーイズで汗を流し、3年には主軸として春の全国大会優勝に貢献した。
高校は享栄高校に進学。1年春からベンチ入りし、夏から右翼のレギュラーで試合に定着したが、挫折も味わった。3年秋、同期の竹山日向選手がドラフト5位でヤクルトの指名を受けたが、彦坂選手の心境は複雑だった。「実力が足りずプロ志望届提出を断念した。うれしかったが、自分も選ばれたかった」と語る。
プロを目指して帝京大学に進学したが、大学の壁は想像以上に高かった。1年春のリーグ戦では29打数3安打。「目の前が真っ暗になるくらい落ち込んだ」という彦坂選手に声を掛けたのは、1学年上の島野圭太選手(鷺宮製作所)だった。「自分の打撃に矢印を向けて」と助言を受け、「振らなくてアウトになるより、自分の形でアウトの方がいい」と積極的な姿勢に変えると、徐々に持ち前のシュアな打撃が開眼。2年秋の日本ウェルネススポーツ大学戦で最終回に逆転の3点本塁打を放った。「やっと自分が勝たせたという安心できた打撃だった」。この一打が転機となった。3年春には打率4割1分でリーグ首位打者とベストナインを獲得。「いけるんじゃないか」とプロの夢が目標に変わった。
もう1人世話になった恩人がいる。三河一宮ボーイズ時代のコーチ、松下泰典さん。「迷っている暇があったらバットを振って来い」。そう言って、中学、高校時代も家まで来て打撃練習を夜遅くまで2人でやった。当時は「怒られてとても怖い存在」だったが、今では「教えてもらった基礎の大事さが分かってきた」という。現在も調子が悪いと相談し、LINEでメッセージをくれる恩師に「ものすごく感謝している」と話す。
理想の打者はソフトバンクの近藤健介選手。「選球眼が良く、長打も打てるバッターに成長したい」と意欲をみせる。
「仲間が喜ぶのを見ることしかなかった」という4年前の秋。彦坂選手は「次は自分の番だ」と吉報を待つ。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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