石川県能登町の元消防士で町立高倉公民館館長の田中隆さんが15日、豊橋市立津田小学校で講演した。「正しい情報をキャッチせよ」がテーマで、昨年の元日にあった能登半島地震の体験などを語った。
津田小校務主任の丸地宏直さんが、能登町と縁があり実現した。田中さんは震災発生時は能登町の自宅にいたといい「揺れていた時間は50秒だが、とても長く感じた。その間は動けなかった」と振り返った。
震災から10日ほどの様子を「水の確保が難しく、川の水をくんできて、上澄みを日本手ぬぐいでろ過して米を炊いたが、色がついていた。それでも気にせずに食べた」「トイレは汚物は流せるが、紙を流すと詰まるので袋に入れてためていた」「誰かが食べ物をもどしたことがきっかけとなり、ノロウイルスが発生したとのデマが出た」「県外ナンバーの不審車両が入ってきた。『支援車両』などと手書きで書かれていたが、はしごを積んでいるなど様子がおかしかった。これを機にパトロールを始めた」などと語った。
避難所生活については、「避難者が誰かのために何かしようとする気持ちがないと、運営がうまくいかない。自分さえ良ければいいの考えは駄目」と述べた。また日頃の備えとして「ランタンなどの明かりは、家族一人に一つあったほうが便利」とアドバイスした。
講話には小学生、保護者、校区の人ら約350人が参加した。校区は毎年防災関連の行事を企画しており、今回は地震直後の様子を体験者から聞こうと田中さんを招いた。
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1973年生まれ、豊川市出身。建設業界に勤務後、96年に入社。2022年から豊川市を担当している。趣味は美術館巡り。ポッドキャストでラジオを聞くのも好きで、さまざまな番組を楽しんでいる。
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