愛知大学地域政策学部2年生が25日、豊橋駅ビル「カルミア」内の「大一青果」で、新城市のブランド米「決戦の刻」の試食販売会を開いた。
企画したNPO法人「奥三河まるごとキャンパス」代表理事の原田直彦さんによると、大学に学生の参加を呼び掛けたところ、5人が応募してきたという。8月からミーティングを重ねた。水田を視察したり、耕作放棄地の草刈りをしたり、軽トラ市で知名度を調べるアンケートを取ったりして、販売会の準備を進めてきた。また、SNSで発信するコンテンツの議論も重ねた。
決戦の刻は新城市の「東郷ブランド米事業検討会」が2023年に命名した。東郷地域は米農家の後継者不足が課題となっており、耕作放棄地が増えていた。東郷地域協議会は、市と共同で米のブランド化事業を進めようとしたが市は「不可能」と判断。そこで協議会は「それなら民間で」と22年9月、地域住民を中心に東郷ブランド米事業検討会を立ち上げた。
「長篠・設楽原の戦い」の古戦場で生産された「あいちのかおり」米。ここを代々守り続けた農家が大切に育ててきた。「この米を日々食べて、実社会での『さまざまな決戦』に挑む前に、英気と勇気を養ってもらう」がコンセプト。受験や就活の面接、試合、発表会から恋の告白まで、さまざまなシチュエーションでの「縁起米」「応援米」としている。
この日は、午後5時半から販売開始。学生たちは1時間前から売り場に決戦の刻を配置し、作ってきたポップを並べるなど、見た目にこだわった。大一青果の髙橋伸育社長らは手伝いをしたが、基本的に学生に任せた。「とても楽しそうで見ていてうれしくなる」と髙橋社長。原田さんも「何も指示していない。学生が考えている。自分がやったらぜんぜん違うものができていたでしょうね」と感心していた。学生たちは「もっと高いところに置いて」「見て、すごくない?」と声を上げながら、何度も並べ替えるなど、ギリギリまで準備を進めた。
決戦の刻を炊いた炊飯器を持ち込み、容器に小分けして用意した。学生たちはブランド米をPRするそろいの法被を着て「決戦の刻の試食販売中です」「いかがですか」と大きな声を出して買い物客を呼び込んだ。3カ月間の準備の成果で、ブランド米の来歴を聞かれてすらすらと説明する場面もあった。午後7時まで店頭に立ち、米を買い求める人もいた。
大一青果は今後も決戦の刻を取り扱う。販売しているのは600㌘(800円)と1㌔(1200円)、300㌘のキューブボックスが3個入ったギフト用(1800円)の3種類。価格は税別。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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