先月の全国高校駅伝で、豊川高校男子が2時間3分36秒で7年ぶりの8位入賞を果たした。奈良修監督(54)は、大学での指導経験を経て2022年に就任。高校生相手に悪戦苦闘したが、復活への確かな一歩を刻んだ。毎朝選手たちに手料理を振る舞う日々。大学時代の指導法をあえて捨て、選手と真剣に向き合った3年半がついに実を結んだ。
大東文化大学では箱根駅伝5区で区間賞を獲得したスター選手だった。実業団を経て大学で指導に当たった後、2022年に豊川の監督に就任した。当時のチームは前年の全国大会で43位と低迷しており、立て直しが急務だった。
しかし、初めての高校生指導は苦労の連続だった。1年目、大学時代の経験を頼りに走り込みを重視したところ、主力に故障が相次ぎ、全国大会出場を逃す。奈良監督は「彼らに合った練習をするべきだった」と深く反省した。これまでの指導法を一度捨て、ゼロから向き合う決意をした。
転機となったのは2年目以降の方針転換だ。選手一人ひとりに合った練習方法を指示する一方、「やらされてやる練習はしてほしくない」と練習量を大幅に減らした。4年目の今年は練習時間を朝1時間、午後2時間程度に短縮。3週間あった夏合宿も10日間に削り、めりはりのある質の高い練習を徹底した。
さらに週1日のフリー時間を設定した。「ネットで他校の情報が簡単に入る時代だが、最終的には自分の体と相談して判断すべきだ」と、選手の自律を促した。期待のルーキー藤田翔蒼選手(1年)の起用についても「将来がある選手。大学や実業団でどうなっているかが全て」と、長期的な視点での指導を貫く。
寮に住み、平日の朝は自らスープや卵料理を作って振る舞う。「親元を離れた子たちの力になりたい」という思いは、自然と選手との距離を縮めた。伊藤颯汰主将(3年)は「学年が上がるにつれ、監督との信頼関係が深まった」と振り返る。
今大会、豊川は「絶対的なエースがいない中、7人で力を合わせる」戦略で臨んだ。県予選では全区間首位で2年ぶりの優勝、東海大会では4連覇を果たした。本大会前の「日本体育大学長距離競技会」ではエントリー12人全員が自己ベストを更新。チームの底上げは着実に進んでいた。
都大路では1区の大沼光琉選手(2年)が30位と出遅れたが、奈良監督は「タイムとしては十分」と冷静だった。事前に「30位前後ならチャンスがある」と言葉を交わしていた伊藤主将も、「焦りはなかった。自分の役割を果たせば勝てる」と落ち着いてたすきをつないだ。2区以降、選手たちは区間1桁台の快走を続け、着実に順位を押し上げた。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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