昨年6月に施行された改正刑法により、1907年以来続いてきた懲役刑と禁錮刑が一本化され、「拘禁刑」が導入された。刑罰の在り方が「刑務作業」から「個々の立ち直りに必要な指導」へと重点を移すことになった。名古屋刑務所豊橋刑務支所(豊橋市今橋町)では、行政、民間、大学が一体となって受刑者の社会復帰を支える「福祉課程」の指導プログラムが動き出した。地域全体で取り組む手法は全国的にも珍しく「豊橋モデル」として注目を集めている。
支所で開かれた「福祉プログラム指導」の第1回には、30~50代の女性受刑者5人が参加した。講師を務める「とよはし総合相談支援センターほっとぴあ」の鈴木陽一郎さんが「出所後にやりたいことを考えよう」と問いかけると、受刑者からは「かかりつけ医に行きたい」との声が上がった。鈴木さんは「頑張る力になる」と優しく応じた。
一方で、切実な不安も浮き彫りになった。「アパートを借りるお金は」「仕事を受け入れてもらえるか」といった疑問に加え、パニック障害を抱え窃盗罪で服役中の女性は「不安やイライラで衝動を抑えられないことがある。出所後の人間関係が不安だ」と胸の内を明かした。
背景には、障害を持つ受刑者の高い再犯率がある。法務省の調査(2015年)によると、出所後半年未満の再犯率は、知的障害のある人は33%に上る。また、22年に入所した障害者の約4割が窃盗罪に問われていた。
この課題に挑むのが、市役所、社会福祉協議会、精神科病院、弁護士、大学教授らで構成するワーキングチーム「チームとよはし」だ。半年をかけてプログラムを立案した。日本福祉大学の鷲野明美教授は「特性に合わせたプログラムは出所後に役立つ意義深い」と評価する。
拘禁刑への移行に伴い、受刑者の分類は従来の再犯リスクによるものから、年齢や障害の有無などによる24分類へと細分化された。より丁寧な個別対応が求められる一方、現場の負担は増えている。全国の受刑者に占める精神障害者の割合は、12年の10・2%から22年には16・8%へ上昇した。豊橋支所関係者も「やることが増え、職員の負担増が課題」と語る。
専門知識を持つ外部講師の活用は、支援の質向上だけでなく、職員の負担軽減という側面からも重要だ。プログラムは5種類で、「相談先」や「健康」など3カ月間実施される。
2月5日には、87歳の受刑者も参加する高齢者向けプログラムも予定されている。松崎病院豊橋こころのケアセンターの清水徳子さんは「相談できる環境を整えれば、罪を犯さずに済む」と期待を寄せる。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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