豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)と愛知教育大学の共同研究チームは、県内に生息する絶滅危惧種のサンショウウオ2種に関する遺伝的多様性の研究成果をまとめた。渥美半島に生息するヤマトサンショウウオの集団が、現在も比較的良好な遺伝的状態を保っていることが判明した。
研究チームは2020年から郷土の希少両生類の保全に向けた調査を続けてきた。ヤマトサンショウウオは近畿地方東部から中部地方南部に分布する小型のサンショウウオで、県内では渥美半島のみに生息している。生息数の減少が著しく、県レッドリストでは絶滅危惧1B類に指定されるなど絶滅が強く懸念されている。今回の調査で田原市内の36個体のミトコンドリアDNAを解析したところ、岐阜県や滋賀県などの他地域の集団と同程度の遺伝的多様性が維持されていることが裏付けられた。この結果は、今後の保全施策を検討する上で極めて重要な知見となる。
一方で、尾張地方にのみ分布するオワリサンショウウオの調査では、対照的な結果が出た。知多半島の5地点で調査した53個体すべてが同じ塩基配列を示し、名古屋市東部などの他集団に比べて遺伝的多様性が極端に低いことが分かった。知多半島の集団は遺伝的な脆弱(ぜいじゃく)性を抱えている可能性があり、保護に向けた課題が浮き彫りとなっている。
今回の研究成果は、3月23日発行の豊橋市自然史博物館研究報告に掲載された。地域の自然資本を守るための地道な学術調査が、絶滅の淵に立つ希少種の命をつなぐ一助となることが期待される。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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