豊橋技術科学大学の研究チームはこのほど、自律移動型ロボットの予測できない動きが、すれ違う人間に対して不快感や持続的なストレスを与えることを明らかにしたと発表した。配膳や警備などを目的としたロボットが社会に普及する中、人間と共存する環境では、物理的な安全性だけでなく「動きの予測可能性」が重要であるとする研究成果だ。
研究チームはVR(仮想現実)空間を用いて、人間が正面から近づいてくるロボットを避けて目的地まで歩く実験を行った。実験では、参加者の主観的な「快」「不快」の感情評価に加え、手のひらの発汗反応(皮膚電導度)を計測することで、覚醒度やストレスレベルを客観的に評価した。
ロボットが単調に直進してくる場合、参加者の覚醒度は当初高まるものの、試行を繰り返すにつれて徐々に低下し、その状況に慣れる「馴化(じゅんか)」の効果が確認された。動きが予測しやすいため、回数を重ねることで緊張が緩和されたと考えられる。
一方、ロボットが突然一時停止して再発進するなど、動きが不確実で予測しにくい場合、参加者の不快感が有意に高まることが判明した。さらに、この条件下では試行を繰り返しても皮膚電導度などの生理的な覚醒レベルが低下せず、慣れが生じにくいことも明らかになった。
研究の第一著者である松原優太氏らは、不確実な刺激が不安や嫌悪を引き起こすという心理学的知見と一致する結果だと指摘している。ロボットが人間社会に受け入れられるためには、単に衝突を避けるだけでなく、人間にとって「次にどう動くか予測できる」動作設計が不可欠だと結論付けた。
研究は1月、国際学術誌「International Journal of Social Robotics」オンライン版に掲載された。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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