蒲郡市役所屋上にこのほど、測位衛星(GNSS)受信機が設置された。京都大学大学院情報学研究科の梅野健教授の研究グループと今年度から進めている共同研究の一環で、将来発生が懸念される南海トラフ地震に備え、大地震の直前に発生するとされる「プレスリップ(前兆すべり)」の検知を目指す。
設置作業は1月26日に行われた。市役所屋上から三河湾を臨む南東方向に、準天頂衛星「みちびき」やGPSなどを同時観測できる高性能な受信機を配置し、連続観測を開始した。プレスリップ検知に向けた実証試験を自治体が共同で行うのは全国で初めての試みとなる。取得データは今後、京大が開発する準リアルタイムシステムに組み込まれ、防災判断の材料となる解析結果が共有される予定だ。
今回の実証試験で用いられる手法は、梅野教授が考案した「相関解析法」だ。多地点間の信号の相関をとることで、ノイズに埋もれた微弱なシグナルを検出する技術だ。2011年の東北地方太平洋沖地震の直前データにこの手法を適用したところ、地震発生の約2時間前からプレスリップを示唆する異常を検出することに成功している。
蒲郡市の鈴木寿明市長は設置に際し、今回のデータ解析結果を市内だけでなく、近隣の東三河の自治体にも展開したいとコメントした。市は今後、単にデータを流すだけでなく、その意味を市民にどのように分かりやすく伝えるかについて、危機管理課を中心に京大側と協議していく方針だ。
京大はJR東海などとも連携を進めており、蒲郡市を拠点の一つとして南海トラフ沿いの観測網充実を図るとしている。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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