目指すのは「強く、優しい字」 元信金職員が筆を手に 書道家・兵藤優衣さん初の個展

2025/12/24 00:00(公開)
初の個展を開いている兵藤さん=カフェ風花で
初の個展を開いている兵藤さん=カフェ風花で

 豊橋市の書道家、兵藤優衣さん(30)が同市駅前大通1の「カフェ風花」で初の個展「書 世界」を開いている。信用金庫の職員から転身した異色の経歴を持ち、金融の現場で培った経験を武器に書道で新しい道を切り開こうとしている。30日まで。

 

 母が書道の先生だった影響で6歳から筆を握り、小学校時代の夢は「習字の先生」。だが高校卒業後は「社会に出てもまれたほうがいい」と地元信用金庫に就職した。窓口業務や経営相談を担当、女性活躍の代表として日本金融新聞に取り上げられるなど活躍した。

 

 転機は29歳。「やっぱり習字がやりたい」。直感を信じて退職を決意、数カ月後には書道講師として活動し始める。「信金時代に培った『狂靭(きょうじん)なメンタル』と『対話力』が今の財産」と兵藤さん。現在はウズラの卵のピクルス商品などのロゴも手掛ける。書道講師として「教育書道」を教える一方、大人たちが社会の疲れを癒し、自分を思い出すための「第三の居場所」とも位置付ける。「社会の厳しさを知っているからこその視点」と語る。

 

 個展では「勇気」「努力」「昇龍」など力強く前向きな言葉を筆に託した15点を展示。従来の「重厚な巻き物」というイメージを覆し、洋風の生活空間に合うモダンな額縁を採用。ラメ墨を使った光る作品、ガラスに墨を落とした春夏秋冬の表現など、斬新な作品が並ぶ。

 

 「銀行員時代の厳しい経験を『強さ』とするなら、同じくらい『優しさ』も大事にしたい」。兵藤さんが目指すのは「強く、優しい字」だ。見る人が落ち込んでいる時にはパワーを、明るい時には包容力を感じてもらえる、受け取る側のタイミングで伝わり方が変わる字を追求する。「書道のイメージを変え、若い世代にもなじみやすい作品を見てほしい」と語る。デザイン書道家の鈴木愛さんのように「一目見てその人だと分かる独自のスタイル」の確立を目指す。「この先もずっと、死ぬまで書道を続けていきたい」と挑戦し続ける。

兵藤さんが手掛けたウズラ商品
兵藤さんが手掛けたウズラ商品
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北川壱暉

 1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。

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