豊川市は先日、四つの総会を市民プラザで半日の間に行った。うち一つの総会で、参加者からの質問が多く出て、司会者が「手短に」と促した。これに対し「参加者の質問を大切にすべきである。時間の制限をなくすべきではないか」と怒りの声が上がった。昭和から平成にかけて当たり前だった「総会はセレモニーであり、意見を言う場所ではない」という常識が、令和になり「意見を言ってもいい場所」に変わりつつある。その意識のずれが浮き彫りになった。
四つの総会は「豊川改修」「国道151号一宮バイパス建設」「東三河環状線整備」「東三河ふるさと公園整備」の各種期成同盟会。すべての会に豊川市の竹本幸夫市長、同市選挙区選出の藤原宏樹、浦野隼次の両県議が出席した。他に関係する市議、県や市の職員らも参加した。関係する市民らも出た。
各総会の予定時間は1時間となっていた。休憩時間を考えると、50分以内に終わるのがベストとなる。これは「基本的に質問が出ない、あったとしてもわずかである」という昭和から続く運営スタイルでないと実現できない。
昭和からの仕組みはある意味で合理的だ。多くの会で会長を務める竹本市長や来賓の県議らは多忙を極める。その人たちが参加するのにあたり、無駄な時間があってはいけない。四つの総会を同日に開催し、スムーズに審議が進むことを前提として運営するのは、行政として合理的な判断といえる。
一方で近年は、市民らが意見を言うことが当たり前になっている。出席者側から見れば、市長や県議など、普段はなかなか会うことができない人たちに、意見を直接伝えられる貴重な場になる。市長や県議も大切な時間を使って参加しているが、出席者もまた大切な時間を使って参加している。出席者にとり、「効率的な総会の運営」よりも、「意見を聞いてもらう」ことが優先になることがあってもおかしくはない。
総会の中で必ず出てくる「ご意見はありませんか」の言葉は、意見がない前提の形式的セリフだったが、令和の時代は、意見が出ることもある前提で話すセリフに変わりつつある。
四つの総会のうち、東三河環状線とふるさと公園は、スムーズな審議で終了した。一方で豊川改修と国道151号では、質問や意見が出た。特に国道151号では、多くの質問や意見が出たことから、次の総会の時間を考慮し、司会者が「手短に」と質問者に伝えた。これに対して出席者の一人が「市長や県議など、これだけの人が集まっている会合は、めったにない貴重なものだ。参加者の意見や質問をしっかり聞くべきである。総会の終わる時間を決めずに開いてもらいたい」と強い声で訴えた。
国道151号を担当した市建設部では、総会での意見を受け止め、次年度以降はどのような運営方法がよいのか、職員で話し合っているという。運営者、出席者の双方が完全に納得する運営方法はおそらくなく、解決策を見出すのは難しいことと誰もが承知している。一方で昭和や平成でうまくいった仕組みが、令和ではうまくいかないことがあることも現実だ。ある市民は「運営者側の行政の感覚が古い。市民に質問や意見のある場合は、さえぎるのではなく聞くべきだ。これこそが令和の常識ではないか」と話した。
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1973年生まれ、豊川市出身。建設業界に勤務後、96年に入社。2022年から豊川市を担当している。趣味は美術館巡り。ポッドキャストでラジオを聞くのも好きで、さまざまな番組を楽しんでいる。
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