メジャーリーグの強打者をねじ伏せる投球はいかにして生まれたのか。蒲郡市出身で「ニューヨーク・メッツ」の千賀滉大投手(33)が昨年11月、2年ぶりに凱旋(がいせん)した蒲郡市内での野球教室やその後の取材で原点を語っていた。
小学生時代、友達がゲームで遊ぶ中で一人、ボールの壁当てに励んだ。「みんなと一緒のことをしていたら、同じレベルにしかならない」。中学1年の時は身長150㌢と小柄で「上手な方ではなかったが、野球の勉強は人一倍した」と振り返る。蒲郡高校で投手に転向し球速144㌔まで伸びたが、変化球は「試合で使えない」レベル。本人は大学進学を考えていた。
転機は用品店店主の西川正二さん(故人)との縁だ。無名の才能を「億を稼ぐ逸材」と確信した西川さんが「福岡ソフトバンクホークス」へ売り込み、ドラフトまで時間が限られる中、西川さんの眼力を信じた球団が急きょスカウトを派遣した。そのしなやかな腕の振りに衝撃を受けた球団が決断し、育成4位で入団が決まった。プロ入り後は代名詞の「お化けフォーク」を身につけ、2016年からは7年連続2桁勝利、23年には育成出身初のメジャーリーガーとして12勝を挙げた。
上達の極意に千賀投手は「逆算」を挙げる。「目標達成のために何をするか。例えば速い球を投げるなら、飯を食べて体を大きくする。一つずつ達成していくことが大事」と説く。マウンドでの心構えも「緊張した時は深呼吸。練習してきたことを信じるしかない。練習は試合のように、試合は練習のように」とメンタルの重要性を説いた。プロ入り後のダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)との出会いも「自分はまだまだ」と飽くなき向上心に衝撃を受けたという。
また「けがをしないこと」を強調した。「的を狙おうとしてひじから出してしまうのは危ないし力も出ない。山本由伸投手(ロサンゼルス・ドジャース)も僕も、そうならないよう意識している。けがをすると楽しくない」と教えた。
思い出の蒲郡球場を見渡し「全然ストライクが入らなくて、ふてくされたこともあった」と苦笑いした。「野球をやる子が少なくなっている。1人でも多くの子に野球の楽しさを分かってほしい」と語った。今季はここまで0勝4敗、防御率9・00と苦しい投球が続くが、エースの輝きを取り戻せるのか注目だ。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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