さよなら故郷③残された東堂神社 甘く温かい思い出語り継ぐ

2016/12/29 00:00(公開)
落ち葉が覆い、ススキが生え放題の東堂神社=設楽町川向で
 設楽ダム建設で無人となった設楽町川向にある東堂神社。近隣地区の神社は移転や合祀(し)で存続しているが、東堂神社の“引っ越し先”は決まっていない。先に引き取り手が決まった「兄弟釜」が、甘く、温かい過去を思い起こす。
 設楽大橋から名倉方面へ向かう国道257号沿いに、山中に取り残された神社がある。落ち葉が歩道を覆い、ススキも鳥居の高さまで届きそうなほど伸びる。かつて年末年始や祭事は住民らでにぎわい、秋は美しい黄色で染まるイチョウの木は、今も川向の名物だ。
 川向と同じく全住民が移転した八橋、大名倉では神社の引っ越しが相次いだ。八橋神社は田口の白山神社と合祀。大名倉の白鳥神社も豊川を挟んで迎えの高台に新築移転した。
 水没や道路の付け替え工事の影響を受ける地域は移転に伴う補助金も出るが、標高の高い位置にある東堂神社は対象外。管理責任者の選定問題もあり、地元住民と県神社庁で話し合いが続いている。
 3年前に設楽町清崎に移転した明治創業の原田こうじ店は、神社での祭りで毎年甘酒を振る舞った。原田禮史(れいし)さん(68)は亡き父・勝一さんの遺志も継ぎ、神社にあった甘酒を沸かす2個の鉄釜を引き取り、店頭に展示した。
 「ここに置いておくと、たまに川向出身の人が立ち寄ってくれる。釜のおかげで、離れ離れになったみんなとまた会える」と語る禮史さん。一足先に“新居”を見つけた兄弟釜が、神社での思い出を語り継ぐ。
(由本裕貴)
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