南米日系人を中心とする外国人住民が多く住む自治体の関係者が集まり、多文化共生への課題について考える「外国人集住都市会議とよはし」(同会議主催)が31日、豊橋市藤沢町のロワジールホテル豊橋で開かれた。“豊橋宣言”を行い、国に対し外国人材の受け入れ議論が具体的な分野などで進められていることを評価し、今後の実効性ある施策展開を期待。多文化共生にかかる外国人政策を総合的に実施するための外国人庁の設置も改めて要望した。
豊橋、豊田、小牧の県内をはじめ、浜松、湖西、飯田、太田など同会議会員都市とオブザーバー(蒲郡、新城)の計25都市の首長や関係者、国職員ら約400人が参加した。
「外国人住民が活躍する社会について」をテーマにした討論では、3市長と国の関係者の7人が意見を交わした。
日本の社会で活躍する外国人が増えている中、豊橋市の佐原光一市長は外国人庁の設置を提案。浜松市の鈴木康友市長も「人口減少が進み、外国人の力を生かすためにも外国人庁のような組織をつくり、しっかりとした受け入れを」と求めた。
外国人材受け入れに関する考えについて、国の関係者は「外国人の技能実習と外国人受け入れの在り方を分けて考える」と述べ、これに対し鈴木市長が「分けて考える発想は良くない」と指摘した。
また、佐原市長は「外国人住民があらゆる場で地域社会の一員として多様性を生かしながら活躍できる仕組みづくりを」と提案。鈴木市長も「外国人の子どもが就労できる仕組みづくりにしっかり取り組んでほしい」と国に求めた。
厚生労働省の関係者は「ハローワークの対応力を高める必要があり、10カ国語によるコールセンターの利用を本年度中に開始したい。青年層の就労を支援していく」と述べた。
長野県上田市の母袋創一市長は、課題として「外国人の特別扱い感がある。排除はだめ」と話し、「日本人のみという枠を取り払い、外国人が能力を発揮できる機会の提供を」と提案。
内閣府関係者は「外国人の定住が顕著となり、日本社会の資源と捉える考え方を普及させていく」、総務省関係者は「10年前に比べ外国人が支援される側から支援する側に回ってきた。多文化共生の事例集を各地に普及させたい」と述べた。
(中村晋也)