豊橋技術科学大学（豊橋市）と家庭用医療機器などを製造するリッコー（東京都）が、人の手を模した五指ハンドマッサージＡＩ（人工知能）ロボットを共同で開発している。人の体を押すなどの動きをするロボットのハード部分が完成。現在、押したり、もんだりを制御するＡＩのソフト開発に取りかかっている。
　同大システム制御研究室が培ったロボット運動制御研究などをもとに取り組む。指圧師の指先圧力を計測し、そのデータに基づいたロボットハンドの動作制御システムを構築するなど、これまでの成果を活用して実施している。
　同社によると、マッサージの需要は伸びているという。こうした中、熟練マッサージ師らとそん色のない施術法を再現するロボットを開発することで、凝りなどの治療やリラクゼーションだけでなく、施術者の肉体的負担の軽減、人手不足解消などに役立てる。
　完成しているのは、つかむための四指と、押すことに特化した母指からなる五指ハンドロボットなど。今後、「人の手か、機械の手に触られているのか分からないほどの感触」を目指し、ＡＩを学習させ、柔軟な指の動きを再現できるようにするほか、全身に対応し、体が動いても追従可能にする。現在は片腕だが、将来的には両腕にするという。
　これからＡＩのソフト開発を進め、実証実験などを経て２０２１年以降の販売開始を目標にする。
（中村晋也）