蒲郡市清田町にある国指定天然記念物「清田(せいだ)の大クス」に、2023年度から巨大ガ「クスサン」の幼虫が大量発生している。市は今月末から10月に薬剤散布をし、成虫の駆除に取り組む。
大クスは国道23号バイパスのそばから外れた畑や民家に囲まれた場所にある。高さ22㍍、根回り16・10㍍、幹回り12・56㍍。推定樹齢は1000年以上で中部地方を代表する巨木だ。平安時代に源義家(1039~1106年)が奥羽征伐を記念して植えたとの言い伝えがある。また、明治初め頃までは、一帯はクスの大木が何本もある樹海だったとも伝わる。
今は町内を含めた北部地区の住民や子どもから「清田の大クス」の名で親しまれている。市博物館や大学の専門家、ボランティア団体が保全活動に取り組んでいる。
幼虫の確認は2019年頃から。数匹程度で大きな影響がないとし、見つけるたびに駆除していた。23年から大量発生し、この年は300匹以上を駆除。24年5月には前年の10倍以上が爆発的に発生、若葉を中心に食害を受けた。博物館職員らが手作業で葉に付いた5000匹以上もの幼虫を回収した。
博物館学芸員の松田繁さんは「大量発生の原因や、どこから来たのかが分からない」と話す。近くの建物と市立蒲郡北部小学校にもクスが植えられているが、クスサンはいない。大クスだけが被害に遭っているという。
博物館は、量が多いこと▽成虫が卵を産み、幼虫がふ化することで来年以降も同様な事態になる可能性があること▽放置すると大クスの枝が枯れる恐れがあること―などを理由に、県民文化局と協議。羽化時期に差し掛かり、食害が止まって新たな若葉が茂りつつある今、周辺の畑や作物でも使用している薬剤をまいて駆除することにした。
松田さんは「これからも、『清田の大クス』にとって一番過ごしやすい環境を整えていきたい」と話した。
ヤママユガ科。別名「クリケムシ」。幼虫は全身が白い毛で覆われ、葉を暴食して成長し、最大10㌢の毛虫になる。4~7月に出現する。葉に独特のカゴ目状のマユを作ってサナギになる。秋頃に羽化し、大きさ10~13㌢の成虫になるが、寿命は1週間か10日ほど、その間に樹の幹などに卵塊を産み付ける。卵はそのまま冬眠する。
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愛知県蒲郡市生まれ。2020年、地元蒲郡が好きで東愛知新聞社に入社。同年から蒲郡担当、市政や地域行事、文化など全般を取材。ドローンを使って東三河の名所を空撮したルポ「大二朗記者の空からの訪問」を不定期連載。これまで、三河大島や三河国分尼寺跡、日出の石門などを空撮してきた。ドローン技術向上のため、国家資格「一等無人航空機操縦士」を24年に取得。読者の皆さんが楽しんでもらえる記事と記憶に残る写真を掲載できるよう、日々、頑張っていきます。
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