「ええじゃないか とよはし映画祭2019」(実行委員会主催、東愛知新聞社など後援)が10日、3日間の日程を終え幕を閉じた。初めて実施した自主制作作品を審査するコンペティション部門は、グランプリに西川達郎監督の「向こうの家」が選ばれた。
コンペティション部門は、昨年1月以降に完成した自主制作作品を募集し、161作品の応募の中から選ばれた9作品が9、10両日に上映された。
テレビドラマ「北の国から」の演出などで知られる豊橋出身の杉田成道さんが審査委員長を務め、穂の国とよはし芸術劇場プラットで開かれたクロージングセレモニーでグランプリなどが発表された。
杉田さんは「161作品は驚異的な数字。映像作家のすそ野が広がっていると実感した。どれも骨格がしっかりしていて、その中で『向こうの家』が半歩抜きに出た」と講評。さらに「映像の時代がすぐそこ。映像作家を育てることが次の世代にバトンタッチすること」と述べ、「コンペティションが5年、10年、20年と続くことを願う。市長にお願いしたい」と期待を込めて話した。
グランプリに輝いた西川監督は「各地の映画祭で上映させていただいているが、グランプリを取れず、悔しい思いをしてきたのでとてもうれしい」と感想。その上で「この賞を励みに作品で豊橋の映画祭に戻ってきて再会したい」と意欲を話した。
グランプリに賞金50万円、「とよはし未来賞(審査員特別賞)に30万円、上映時の観客投票による「観客賞」には20万円が贈られた。
実行委は、インターネット上で募るクラウドファンディングで経費などを集め、これからの映画人を発掘、支援するコンペティションにも充てた。実行委の佐藤元英会長は「コンペティションはクラウドファンディングにも支えられた」と感謝し、佐原光一市長は「明日から来年に向けて準備を始めます。コンペティションをよりいいものにするため努力する」と述べた。
3回目を迎えた映画祭は、プラットと開発ビル10階ホールを会場に開催。豊橋や愛知県にゆかりのある24作品が上映され、全作品にゲストが登場した。
グランプリ以外の受賞作は次の通り(かっこ内は監督名)
とよはし未来賞 JURI(西条みつとし)▽観客賞 島のシーグラス(榊原有佑)
(中村晋也)
クロージングセレモニーに出席した映画の監督、俳優ら=同