東三河から、プロボクシングフェザー級の中日本新人王が誕生した。豊川市御油町出身で「とよはしボクシングジム」所属の時弘将志選手(24)だ。情熱とひたむきさにあふれた時弘選手に、少年時代の話や、ボクシングの魅力などを語ってもらった。
【聞き手・林大二朗】
-ボクシングとの出合いを。
◆子どもの頃は、近所の気の強い女の子にたたかれても、反撃できずにじっと耐える心の優しい少年でしたよ。小学校の頃から水泳を習っていて、学校内でもいい成績を残していました。それを愛産大三河高校でも続けようと思っていた時に、ボクシング部があるのに気付いたんです。格闘技には興味があり、ボクシングも挑戦してみたいと思っていました。実際に体験するとハマってしまって。そのまま入部しました。
-さまざまな格闘技中、なぜボクシングを?
◆拳だけで相手を倒すのが魅力的だと感じたからです。パンチで使う指は2本。それだけでのし上がっていくことにも魅力を感じました。拳で打ち合うので、単純なように見えます。実際にやってみると、パンチの「ワン、ツー」だけでは相手に当たらない。頭を使って考えないといけない。奥が深いスポーツだと感じました。
-初勝利の気分は。
◆1年生は試合に出られなかったので2年生で出場した時は、すごく緊張しました。対戦相手は他校の同学年。打ち合って勝った瞬間はうれしくて、今でもよく覚えています。人生で一番の瞬間じゃないかな。
-ボクシングから一度離れた理由は?
◆引退したのは、3年間の集大成だと思ったから。大きい体にあこがれて体を鍛えることにハマり、ボディービルをしていました。その時に学んだ摂生、バランス良く栄養を取る方法は、プロボクサーとなった今でもしっかり生きています。
-戻った経緯を。
◆格闘技「K1」の試合を見て、選手がパンチで相手を倒している姿がカッコイイと思って。離れたからこそ改めてやってみたいと。
-とよはしボクシングジムを選んだのは?。
◆仕事帰りに寄れるジムをネットで検索しました。会長やマネジャー、コーチ、一緒に練習している人たちは話しやすいし、アドバイスをくれる。強くなりつつ楽しめるところです。
-1日の練習は。
◆毎日午後7時から午後9時半までシャドー3ラウンドと、試合形式の練習4ラウンド、サンドバッグ6ラウンド、最後に5~6㌔ランニングしています。
-アマチュアとプロで大きく違う点は。
◆グローブの大きさ。高校のは大きくて硬い分パンチが効かないですが、プロは逆。小さくて軟らかいので拳の骨がもろに伝わる。衝撃がすさまじいです。
-頑張っていられる理由は?
◆好きだから。好きで始めたので目標に向かって走っています。
-楽しかったこと、つらかったことを。
◆練習時間が楽しいですね。仕事とボクシングの両立は疲れますが、ジムに着くと眠気が消え、やる気が急に出てきます。減量はつらい。常に食べる量が制限される。
-減量を乗り越え、戦いを終えた後、真っ先に食べたいと思うのは?
◆お母さんのカレーライス。減量が終わった実感と勝った喜びと、久しぶりに脂がとれる瞬間。いつも感動します。
-中日本新人王戦で戦った村田翼選手はどんな相手でしたか?
◆スピードとテクニックがあり、相手の距離で戦ったら負けると思いました。自分のスタイルを崩さず戦っても封じられた。
-次への意気込みを。
◆強い相手と思うので、それに勝つような練習を重ねて頑張ります。目標は全日本新人王決定戦で勝つことを第一に頑張っています。
中日本新人王となった時弘選手(提供)
明るい雰囲気のジム