豊橋技科大が新介護ロボ開発

　センサー技術を生かして「立つ」「歩く」「座る」の一連の動きを支援できる介護用ロボットを、豊橋技術科学大学の武田洸晶助教（機械工学系）らの研究グループが開発した。重心位置を求めるセンサーの数は抑え、正確な位置の予測計算方法をつくった。動作の異常検知で転倒事故の防止にも役立つという。

　従来の高齢者向け介護ロボットは主に、起立や歩行など個々の動きに応じた動作支援にとどまっている。研究では起立から着座までを一連の動作とし、ロボット１台での完結を目指した。家庭使用も考えてセンサーの数を抑える工夫もした。
　一方、動作予測のためのセンサーを減らせば正確な重心位置を求められない。そこで、関節の可動域から重心位置の候補を割り出す計算方法を開発した。機械学習で使用者の状態推定や先々の異常を検知し、対応できるロボットを作った。
　これにより、使用者の意思で主体的に動くことを支援できるようになる。ロボットの動きに人が合わせる従来機器とは異なり、使用者の意思や運動主体感を損なわず適切な支援ができると期待される。
　武田助教は「重心候補を使った状態推定で、１台で幅広い動作に対応できる。形や用途にかかわらず、多様な福祉ロボットに応用が見込める」と研究成果を説明した。
【加藤広宣】