豊橋市向山大池町の「ギャラリーサンセリテ」で広島市在住の作家、大東忍(だいとうしのぶ)さん(32)の木炭画個展「路体(ろたい)」が開かれている。若手作家の現代美術展「VOCA展2024」で大賞に当たる「VOCA賞」を受賞した大東さんによる豊橋初個展。11月9日まで。
1993年、半田市出身。2017年に愛知県立芸術大学美術学部油画科、19年に同大学美術研究科の博士前期課程を修了した。サンセリテの野尻眞理子代表のオファーで展示が実現した。
受験のために学んだ木炭が肌に合い、デッサンではなくタブローの画材として向き合い始めた。モチーフは夜の風景。住宅街や空き地、木々や雑草が生えるような道と少しの街灯、人の気配はあるものの静まり返った世界の中で、一人盆踊りを踊る人影。どこか懐かしさを感じるそれらの作品を何種もの木炭を使い分け、黒の濃淡のみで描いている。
その風景は広島や以前住んでいた秋田、生まれ故郷の愛知などの情景が混ざったもの。踊っている人は自分自身だ。時代で変わりゆく土地や人の営みを「自分事」として物語化。変化を喪失ではなく大きなサイクルの一つとして、供養する意味をこめて描いている。その背景には死生観もある。
今展ではこの2年間に手掛けた作品を紹介。原風景を表面的でなく立体的に描くことでタイトルを「路体」とした。起伏のある風景と小さな人物で、見る人の心の郷愁を誘う。「人口減少や過疎などへの思いが自分の創作の根源。水の音や草の揺れる音、人の住まう気配など、見えない気配を大切に描いている。作品が鑑賞者の原体験を引き出す装置となればおもしろい」と大東さんは語る。
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愛知県豊橋市生まれ。大学卒業後、校閲記者として入社。1年後に報道記者に転身した。2020年から報道部長。芸術、福祉、経済・奉仕団体などを担当する。趣味は、かなりジャンルに偏りのある読書と音楽鑑賞。思考のそっくりな一人娘と趣味を共有している。
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