豊橋市から、M&A(企業の合併・買収)の新しいスキーム作りを目指している集団がある。弁護士、税理士、社会保険労務士の3士業からなるチーム「UPDATE(アップデート)コンサルティング」だ。はやりの言葉で言うなら、対象企業を「整える」専門家。現在もミーティングを重ねており、2月6日には同市駅前大通2の「エムキャンパス」で「事業継承セミナー」を開催する。
弁護士は岐阜県と名古屋市にオフィスのある西面(さいめん)将樹さん。宇宙飛行士になろうと東大に入学、バイクの事故で大けがをして中退し、名古屋大学情報工学部に入り直して卒業、それから弁護士を目指したという異色の経歴を持つ。税理士は各種経済セミナーで講師を務める「税理士法人あけぼの」代表社員の竹内誠さん。社労士はいずれも豊橋市の丸地康仁さん、丸地紀暁さん、坂井秀一さん。
労務問題で企業側の弁護士を務めてきた西面さんによると、M&A業者はたくさんある。売りたい人はできるだけ高く、買いたい人はできるだけ安くしてほしいはずだが、同じ業者が対応している。反論はあるが民法が禁じる双方代理とされかねない。「売買成立しか考えていない。こんな『焼畑農業』のようなやり方が続くはずがない」と話す。
企業を高く売るには「高く買い取ってくれる企業を探す」と思いがちだが、実は企業の価値を高めることこそが近道なのだという。それが「整える」なのだ。
専門用語で「デューデリジェンス」(DD)という企業の調査がある。残業代はきちんと支払われているか。会社の資産に社長個人の資産が混じっていないか。納税は。社員は。「法務」「財務」「労務」の観点で調べる。これらリスクを低減し、その企業の持つ収益性から市場価値が決まるのだという。
アップデートは、事業を承継したい依頼主に寄り添い、それぞれの士業の立場から的確なアドバイスをしていく。中小零細企業でワンマン経営者だと、何の準備もないままその人が倒れた場合、会社がすぐに空中分解してしまうことがある。事業承継の問題は決して他人事ではないのだ。
提供するサービス内容として「お試しサポート」に始まり、M&Aに向けた準備として会社の問題点やリスクを解消しプレゼンテーション資料を作る「プレM&Aサポート」、そしてマッチングや価格交渉のほか契約内容を点検する「M&Aサポート」へと至る。丸地康仁さんらは「豊橋からM&Aのモデルをつくりたい」と意気込んでおり、セミナーへの参加を呼びかける。
現在の予定は「ここが危ない事業承継」(2月6日)に始まり、「生じているかも?未払い残業代」(3月3日)▽「意外と身近なM&A」(4月6日)▽「現代型問題社員への対応」(5月11日)-の計4回。1~2回目はエムキャンパスで。3~4回目は豊橋商工会議所で。いずれも午後4時から。
無料だが完全予約制。専用用紙に必要事項を書いてファクス(0574・49・9274)するか、専用フォーム=QRコード=で申し込む。問い合わせは内堀さん(0574・49・9174)へ。
【山田一晶】