豊橋手話ネットワークは、豊橋創造大の学生の協力のもと「防災紙芝居」を作製した。「きこえない人が困ること」と題し、災害発生時に聴覚障害者の困る事柄や解決法を5枚にまとめた紙芝居。5種類作り、一般向けの福祉イベントや学校の福祉実践教室などで活用したいとしている。
ネットワークは豊橋市聴覚障害者協会や豊橋手話通訳学習者の会、市内手話サークルなどで構成。聴覚障害者福祉の向上に向けた活動に取り組んでいる。防災や手話言語普及に力を入れ、これまで「避難所でのお知らせ絵カード」「コミュニケーション支援ボード」「防災ピクトグラム」「薬に関する絵カード」の製作などを手掛けた。
新型コロナウイルス禍によるマスク生活で、口元が分からない会話に聴覚障害者が苦労してきたこともあり、「今一度、多くの人に障害について知ってもらおう」と紙芝居製作を企画した。
「救助の声が聞こえない」「サイレンや放送が聞こえない」「避難所で孤立」「わかりやすく伝えてください」「駅の放送が聞こえない」の5種類で1セット。がれきの下では目視もできず救助の声や物音が聞こえないことや、テレビが見られない停電時には何も聞こえず情報が入ってこないこと、病気やけがの程度が伝えづらく説明しても医師が通訳ばかり見て不安になることなど、災害時の悩みや要望を分かりやすく表現した。障害を理解してもらうとともに問題を提起する内容だ。
イラストで協力したのは豊橋創造大学短期大学部の幼児教育・保育科とキャリアプランニング科の学生。授業で手話を学んだ学生に呼びかけた。4話分の絵を担当し、今春卒業したキャリアプランニング科の壁谷朋美さんは「イラストを描きながら障害について学んだ。今後も話があれば協力したい」と話した。
「良い絵で仕上げてもらって感謝している。絵カードとともに紙芝居を普及させたい」と同ネットワークの浅倉基雄防災対策委員長と市聴覚障害者協会防災福祉対策部長の佐藤亜子さん。40セット作り、市防災危機管理課に渡したほか、防災ボランティアや読み聞かせグループなどに社会福祉協議会を通して配る。
紙芝居のデータに手話の動画を加えてデジタル化し、多くの人に配布できるようにするのが今年度の目標だ。「昨年11月から推敲(すいこう)を重ね、小学校低学年でも分かる内容にした。ろうの人にどんな配慮ができるか考える一助にしてほしい」と豊橋手話通訳学習者の会の平松靖一郎会長は話す。
【田中博子】