帝国データバンク名古屋支店は、県内企業の設備投資に関する意識調査をまとめた。今年度に設備投資計画が「ある」と答えたのは6割だったが前回より3年ぶりに減少した。企業の慎重な姿勢がうかがえるという。
調査は4月に実施。対象は県内1534社で、598社が回答した(回答率39・0%)。
今年度の設備投資について「すでに実施した」「予定している」「実施を検討中」と回答したのは60・0%(全国は60・5%)だった。1年前の前回調査から3・4ポイント減少している。岐阜は63・3%、三重は70・0%、静岡は65・8%だった。設備投資を「予定していない」県内の企業は30・4%でで、前回調査から2・0ポイント増えた。
「ある」と答えた企業に内容について尋ねたところ、入れ替えや交換、更新など「設備の代替」が53・2%だった。調査開始以来初めて5割を超えた(複数回答)。次いで「既存設備の維持・補修」(27・9%)や「情報化関連」(27・0%)の順。「情報化関連」「DX」のいずれかを選択したデジタル投資を検討している企業は、前回調査から増加している。業務の効率化、新しいシステムづくりへの投資が増えそうだ。また、電気料金などの上昇に対応する目的で「省エネルギー対策」(10・6%)も上向いた。
設備投資の主な資金調達方法を尋ねたところ、「自己資金」が54・0%で最も高かった。「金融機関からの長期の借り入れ」(24・8%)や「金融機関からの短期の借り入れ」(8・9%)といった金融機関からの調達は33・7%と3割を超え、自己資金や金融機関からの借り入れが資金調達の大部分を占めた。
従業員数別にみると「自己資金」は、20人以下の小規模企業で全体の割合を上回った。「補助金・助成金」(5・3%)では従業員数1000人超の企業で10・0%となり、大企業での活用が目立った。
設備投資の効果を尋ねた。「売り上げの拡大」(27・0%)が最も高く、「利益の拡大」(22・8%)と合わせ5割近くを占めた。次いで、省エネ、業務効率化などによる「コスト削減」(14・5%)、「省人化の達成」(12・8%)が続いた。
一方、設備投資を「予定していない」企業に対して理由を尋ねたところ、「先行きが見通せない」が52・2%で最も高かった(複数回答)。以下、「現状で設備は適正水準」(24・7%)、「投資に見合う収益を確保できない」( 20・3%)、「借り入れ負担が大きい」(17・0%)が続いた。
回答した企業からは「車業界のため、先行き不透明感があるので、現在販売が堅調なうちに投資していきたい」「予定していない。備品などが全て値上がり、プラスして送料、設置費等も値上がりしているため」などの声があった。
【山田一晶】