オンライン授業やSSW採用
不登校の児童・生徒が増えている。特に深刻なのが中学生で、2021年度の調査では、全国平均で5・76%が不登校になっている。豊川市は5・26%で全国平均に比べてやや下回っているが、憂慮すべき事態と受け止めさまざまな対策をしている。
年間30日以上欠席がある生徒が不登校と定義される。豊川市では22年度調査で326人の中学生が該当する。欠席数はさまざまで、30日を少し超える子もいれば、ほぼ1年の子もいる。
理由はさまざまで、無気力、不安、生活リズムの乱れ、遊び、非行、友人関係など。今から約40年前は学校に1~2人だったが、今はクラスに1~2人の時代に。「減る気配はない。今後も増えていく可能性が高い」と担当の学校教育課はみる。
なぜ増えるのか。一つは学校へ必ず行けなければならないとの意識が低くなっているのが要因という。かつては学校へ強引に登校させるケースがあったが、今は子どもの気持ちを優先するケースが多い。他にも勉強ができないことへのプレッシャー、学校へ行かなくてもさまざまなサポートが増えていることなどがあげられる。さらに共働き世帯が増え、親子で触れ合う時間が少なくなり、子どもの変調に気付くのが遅くなることも理由という。離婚や再婚が増え、家庭環境の変化が増えたことも要因になる。
同市では、教室に入れない生徒が別の教室でオンライン授業を受けられるようにする▽空き教室や保健室などで自習ができるようにする▽下校後に学校へ来てもらい教員が指導する-などの対策をする。
他に不登校生徒や保護者が不安や悩みを相談できる心理教育相談室「ゆずりは」を市内3カ所で開設するほか、学校へ復帰を目指すための適応指導教室「さくらんぼ」を3カ所で行う。
さらに昨年度からスクールソーシャルワーカー(SSW)を採用。現在は1人のみだが、昨年度は金屋中学校区を重点地区に活動し、小学生57人、中学生16人が利用した。好転したケースが目立っている。関係者は「人数が1人では足りない。全中学校区に配置するのが理想」と訴える。
不登校を放置するとどうなるのか。その後、引きこもりにつながるケースが多い。社会全体の5%以上の成人が引きこもりになれば、社会そのものが成り立たなくなる可能性すらある。
市議会6月定例会の一般質問で不登校問題を取り上げるなど、たびたびこの問題を質問している井川郁恵市議は「不登校になる原因は、一人ひとり違い、決定打となる対策はない。さまざまな対策をして、豊川から一人でも不登校になる子どもを少なくしたい」と話す。
【竹下貴信】