任期満了に伴う豊川市長選(10月1日投開票)で立候補しているのは、届け出順に、現職の竹本幸夫氏(69)と新人で元高校教諭の中村優子氏(75)。候補者の横顔を紹介する。
■竹本幸夫候補 69(無現)
工業団地整備で人口増へ
2019年に初当選した。4年間の一番の実績に、市長マニフェストの一丁目一番地である商業施設誘致も含めた八幡地区のまちづくり推進を挙げる。「イオンモール豊川がオープンし、新たに3000人以上の雇用が生まれた。雇用増は人口の社会増につながる」と話す。
再選を目指すにあたり「もっと元気な豊川をリードする」と題した新たなマニフェストを作った。毎年1000人の社会増を目指す「暮らしやすさ第一豊川市」、日本一子育てしやすいまち「子育て豊川応援団」、市民が主役の市政を進める「市民と創る協働と健全財政のまち」の三つを基本理念に掲げる。
合併推進債を活用した市役所新本庁舎建て替えほか、高校3年生世代までの通院医療費無料化を実現し、白鳥と豊川為当インター地区に新たな工業団地を整備し、基本理念の実現を目指す。御津駅橋上化、消防署本署建て替え、総合保健センター建設、一宮地区公共施設再編事業も着実に進める。
豊川稲荷の御開帳に向けた門前の基盤整備、保育園・幼稚園の給食費無償化などにも取り組む。また災害対策では、河川・内水氾濫危険箇所へ監視カメラを設置する。
豊川市も人口の自然減が社会増を上回り、人口が減り始めている。「雇用創出のために新しい工業団地を整備し、社会増を増やしたい。ハード事業が一気に進むが、基金などを活用して赤字地方債を発行せず健全財政を維持する」と力を込める。
趣味は映画観賞とスポーツ観戦。酒好きで「一升は飲めます」と笑う。座右の銘は「明朗闊達」で明るく元気に豊川をリードすると誓う。
■中村優子候補 75(無新)
大型建設事業に「待った」
「無投票では市民が市政について考える機会を奪うことにつながる」と3回目の市長選出馬を決断した。竹本市政が進めようとしている市役所新庁舎建設など六つの大型建設事業を延期や見直して、小中学校の体育館へのエアコン設置、学校給食費の無償化の実現を訴える。
地方自治法には「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」とある。「今の豊川市政は、住民福祉よりも大型建設事業を優先している」と批判。「建て替える公共施設には、まだ使えるものがある。使えるうちは使い、建て替えのために用意された財源を子どもたちのために使いたい」と力を込める。
大型建設事業のうち、一宮公共施設再編は、計画策定の座長が「資材などが高騰している今、建設して本当にいいのですか」と念押しがあったほど。延期できると考える。保健センターは現在の施設が比較的新しく長寿命化で対応できるとする。
また国が進めようとしている自衛隊基地の地下核シェルター建設に反対する。「豊川駐屯地へ建設予定があるとの情報が入っている。国へ建設中止を求めていく。『新しい戦前』にしてはいけない」と話す。
政治の原点は東京教育大学(現筑波大学)の学生時代。学校の移転問題でクラス討論などしたことが、政治に関わる原点になった。趣味はガーデニング。好きな言葉は川上哲治の「真剣だと知恵が出る。中途半端だと愚痴が出る。いい加減だと言い訳をする」で、常に真剣であることに心掛ける。