全部門一新、地域医療担う包括ケア拠点が誕生
豊橋市八町通3の医療法人善恵会「長屋病院」の増築工事が7月に完了した。一昨年秋から外来診療を含め、全部門のリニューアルを進めていた。1日、関係者が出席し、セレモニーが開かれた。
1900年創業。豊橋の中心部で地域医療の中核を担ってきた。一般診療、デイケア、グループホーム、地域包括支援センターなどの事業を展開し、厚生労働省が推進する地域包括ケアシステムの重要な役割を担う「地域包括ケア病棟」の実現に向けて計画を進めてきた。今回は38病床を増設、地域住民のニーズに応えながら来年2月以降の地域包括ケア病棟の稼働を目指す。
セレモニーには病院関係者、来賓、地域住民ら約200人が出席。地元アンサンブル「ブルーポピンズ」の演奏後、長屋孝美理事長が「設計、建築には苦労もあったが、38床の病棟を造れた。これからの新しい医療を展開していきたい」などとあいさつ。浅井由崇市長のあいさつ後、関係者らでテープカットした。
地域包括ケア病棟は、急性期治療を経過した患者や在宅で療養する患者らの受け入れ、患者の在宅復帰を支援する機能を持つ。家族が家を空けざるを得ない場合や介護疲れを癒やしたい時など「在宅医療を支えるための入院」として利用できる「レスパイト入院」などの機能もある。
増築した建物は鉄骨造で延べ1610平方㍍。1階は総合受け付けを移動させ、相談室などを増やしたほか、リハビリ室を拡張した。2階は病棟、3階には新たに内視鏡室を設置。最新の装置を備え、経鼻内視鏡検査に対応できるほか、秋以降には腸の内視鏡検査もできるよう準備を進めている。患者にストレス無く検査を受けてもらえるよう検査準備のための個室も2室設けた。
長屋病院は新病棟増築を機に、外来や一般病棟入院、介護・リハビリテーション部門など各部門を一新。「これまで以上に連携を強化し、患者様や利用者様の利便性やニーズを重視した『コミュニティーホスピタル』」を目指したい」としている。豊橋鉄道市内線の電停が近いなど交通の便が良く、患者や家族から「長期療養の際にも安心」との声もある。地域医療包括ケアシステムの中核拠点としての役割が期待される中、安井章裕院長は「今後一層地域医療に尽くすことができる。頑張りたい」と話す。
【田中博子】
新たに設置した内視鏡室
リニューアルオープンした長屋病院