【新アリーナ】豊橋市議会臨時会で再可決 契約解除を議決要件とする条例

2025/01/29 20:00(公開)
再議で条例案を再可決した豊橋市議会臨時会=議場で

 豊橋市議会臨時会は29日、議会の議決を経た契約の解除を議決の要件に盛り込む条例改正案について審議し、賛成多数で原案通り再可決した。市が再議を申し立てていた。市が結んだ2億2500万円以上の契約が対象で、長坂尚登市長が中止を掲げる豊橋公園での新アリーナ建設も含まれる。

取材に対し議決の重みについて語る長坂市長=市役所で

 条例案は昨年12月26日の市議会で自民、公明、まちフォーラムの議員が提案した。即日採決で可決されたが、今月14日に長坂市長が「議会権限を超えている」「法令違反が認められる」として議会に付すべき特別再議を申し入れた。

 

 再議書によると、議決要件の対象外の事務が追加されている点で議会権限を超える▽法令の前提となる社会的事実を踏まえた法的事実がなく違法性が認められる―などとある。入札や契約など財務関係事務を議決要件から外す考えを示した2012年の総務省行政課長通知を踏まえ、市長の予算執行権限を認めた自治法に照らして契約解除も予算執行の一部との解釈を加えている。

 

法令違反や議会権限超越の解釈は平行線

 

 自民の本多洋之氏は質疑で議会の議決事件を示す自治法96条のうち、弾力的な運用の余地を定める第2項を挙げた。

 

 本多氏は「96条2項では条例による議決事件の追加は自主的判断を認めている。法的に禁じられれておらず、容認されていると解釈すべきだ」と指摘。その上で、市が再議書で主張する「法令違反」の明確な規定や条文の根拠をただした。

 

 広地学総務部長は「明確な法令規定や条文はない。現時点で、国の通知や行政実務事例から解釈した」と答えた。

 

 共産の鈴木みさ子氏は条例案の対象が市と事業者とされる点について「事業者事由での解除権行使にも議決が必要となる」と指摘。鈴木氏は「その都度、議決を要するのは相手方の解除手続きを複雑にする」と懸念を示した。

 

 また、市長の予算決定権について「契約解除も予算執行に該当する。自治法112条のただし書きに予算を適用除外とする規定がある」と議会の権限超越についての見解を再確認した。

 

 採決では賛成多数で再可決した。12月議会で反対した古池もも氏(とよはしみんなの議会)は条例案に賛成した。一方、前回は退席した自民の尾崎雅輝氏は反対した。「条例案を読み込んで質疑もしたが、憲法や自治法に反している。新アリーナの契約も対象となるが、整備推進の立場であり、採決の内容とは無関係だ」と説明した。

 

知事審査と裁定、さらに司法判断なら長期化も

 

 再可決した条例は、送付翌日(30日)から20日以内の18日に公布期限を迎える。一方、長坂市長は不服なら可決から21日以内に大村秀章知事に審査を申し立てられる。知事裁定に不服なら、市長と議会ともに60日以内に裁判所へ訴え、司法の判断を求めることもできる。

 

 豊橋公園での新アリーナと公園東側エリアの再整備事業は、長坂市長が就任直後の11月18日に解約へ向けた協議の申し入れを指示して以来、2カ月余り工事が中断されたままだ。契約事業者「豊橋ネクストパーク」では工事中断に伴う負担増などが予想される。契約解除の問題が司法の場へ移された場合、最終的な結論に数年かかることが予想され、市政運営の見通しはさらに不透明になる。

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加藤広宣

愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。

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