「引退競走馬」のセカンドキャリアをテーマにしたシンポジウムが豊橋市の「とよはし芸術劇場プラット」で24日に開かれる。企画は、豊橋市に拠点を置く「日本乗馬普及協会」代表の戸苅宏元さん(40)。「競走馬や乗馬クラブへの理解が深まる場にしたい」と期待する。
戸苅さんが競馬に出合ったのが小学生の頃。父に連れられ中京競馬場に遊びに行った。終盤の直線で前の馬を次々と抜かしていく「ナリタブライアン」に、「子どもながらに鳥肌が立った」と振り返る。名城大学では地域創生を学びながら馬術部で活動。豚や牛の餌を扱う「豊橋飼料」に入社した。そして10年目の2019年。「やっぱり好きな馬に関わっていたい」と独立を決断、乗馬を普及する「日本乗馬普及協会」を設立した。
まず始めたのが、乗馬の魅力を発信するフリーマガジン「馬旅」の創刊だ。「乗馬普及団体は前例がなく、手探りの状態で、応援先を探すところから始めた」と戸苅さん。地道に馬具店や乗馬クラブなどを回り、協賛団体を集めた。年4回計24回の発行で配布施設は200以上、紹介企業は50以上に上る。「『馬旅』を見て乗馬を始めた」と読者からメッセージが届くこともあり、「裾野が徐々に広がっている」と実感する。
一方、大きな社会課題にも直面した。それは、「引退競走馬」の受け皿の少なさ。20~30年の寿命のうち、2歳でレースデビューし、現役は5年程度。「引退してからの方が長いのに、現役時代に活躍できなかった馬の居場所がない」と嘆く。
日本中央競馬会(JRA)によると、23年の生産頭数は7798頭。14年の6904頭と比べ800頭以上も増えているが、受け皿となる乗馬クラブは全国で289件と横ばい。繁殖用や乗用として余生を過ごすのは一部で、多くが「廃用」となってしまう。「乗馬クラブの数が足りず、新しい馬が入ってきたら、やむなく古い馬が外に出されてしまうこともある」と厳しい現状を語る。さらに昨今の飼料代の値上がりで「続けるのが難しい」と閉鎖するクラブも珍しくないという。
「生産頭数を減らすべきだ」と競馬を批判する動きがあるが、戸苅さんは「競馬と乗馬の関係者が一緒になって受け入れ先の開拓を進めるべきだ」と否定する。
今回のシンポジウムは、「JRA」元調教師や馬主、牧場や乗馬クラブ関係者、馬術選手、馬術部監督ら、エキスパート7人が登壇し、それぞれの立場から引退競走馬の今後を語る。戸苅さんは「他分野のゲストが一同に会する機会はほとんどない。馬に少しでも興味がある人は参加してほしい」と呼び掛ける。
午後0時半開場、同1時開演。参加無料。申し込みなど詳細は団体のサイトへ。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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