豊橋市は4日、昨年11月の市長選で長坂尚登市長が配った法定ビラの引用記事のうち、記載された前市長のパワーハラスメントに関する事実は確認されなかったとする調査報告書を公表した。市議会12月定例会の一般質問を機に一部会派が報告を求めてきた。選挙結果への信頼性が揺らぎかねず、開催中の市議会では市長の対応を含め、厳しい追及が予想される。
法定ビラには、インターネットメディア「ストイカ」が昨年10月14日付で掲載した、フリージャーナリスト山口義正氏の記事からパワハラに関する一部が引用された。
引用部分には、前市長のパワーハラスメントが原因で秘書2人が相次いでうつ病を発症したとしている、また、新幹線の車内や改札口付近で市職員に「どたけていた」(暴れる、怒鳴り散らす意味の方言)とされる内容も掲載した。
昨年12月定例会では伊藤哲朗氏(自民)ら3氏が一般質問し、長坂市長が制作内容などを知った上で配布したとする答弁を引き出した。市側も公平公正で速やかな調査と結果を議会に報告すると約束していた。
市は2月10日、島村喜一副市長を委員長に「豊橋市パワーハラスメントの疑いに関する調査委員会」が調査開始。前市長在任中で前年度までに秘書課に在籍した職員14人と、現業職や医療職を除く1860人を対象に調査した。
秘書課14人には2月12~18日にパワハラとうつ病の事実関係について聴き取った。現業と医療職を除く1860人は、2月12~19日に新幹線車内や改札口で記載された言動の有無などをメールアンケートで尋ねた。
調査に対し、秘書課での聴き取りには対象全員が「ない」だった。新幹線での出来事も回答者1526人(82・04%)のうち1人を除く全員が「ない」と答えた。「ある」とした1人も「秘書が前市長の靴ひもを結んでいた」とする内容で、場所も違い、評価の対象外とした。
昨秋の市長選は長坂市長が4万5491票で、前市長の4万1094票を約4400票上回り初当選を果たした。一方、市議会では自民、公明、まちフォーラム、とよはしみんなの議会の4会派が法定ビラの記載内容について、市長に事実確認の調査と結果を速やかに報告するよう何度も申し入れていた。
4会派の市議は「選挙戦では次点の前市長と決して多くはない得票差だった。事実関係が確認できない情報を法定ビラで広めたことで結果に影響が出てしまったなら問題だ。選挙の信頼性が揺らいでしまう。市長は、市民や有権者に納得いく説明をする必要がある」と厳しい姿勢を示した。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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